コンサート

『許』 2019.0913

気候の変化に、すっかりやられてしまい

また熱を出した。

 

こうなると、芸術家というのも因果な商売だなぁ、と思えてきてしまう。

少しの変化、風の音やざわめき、木の葉のゆったりとした空を切る舞。

例えば、アスファルトから聴こえる人々の暮らしの音からもその日を感じたりするのに、

 

そんな感受性といったようなものは、ある時にはこうして敏感すぎる肉体となって現れたりするのだから。

 

夜になって、少し調子が上向いてきたから11月24日『美会夜会』で演奏するベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を取り出してみた。

恐ろしい。

恐ろしい曲だ。

室内楽が大好きで、本当はそれをもっとやっていきたい。

だが、そんな希望を打ち砕くかのような、恐ろしい8分音符の羅列。いかにここに芯を入れられるか、あぁどう考えても彼の人は高すぎるエベレスト!!

 

今年から始めた”ヴァイオリン一本・無伴奏活動”により、かなり演奏体力はついたはずなのに、ベートーヴェン、この作曲家はそんな程度じゃあ許してくれやしない。

そう、許されないのだ!絶対に、許さないぞ!!。。。という強固な意思がビンビンと伝わってくるこの譜面。

 

今から2か月。ひたすら彼に捧げきります。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『匂』 2019.0912

今日は、久しぶりに山に行った。

例の里山歩きである。

およそ、一週間ぶりであろうか。先週末の台風を経て、山の様子はそれまでとは変わっていた。

 

が、自然とは恐るべきもので

台風を逃れた蝉は鳴き、スズメバチは頻出する。

 

スズメバチ。初めて見たな。もう二度と見たくない。

 

なのだが、それでもなんとか歩いてきた。帰り道は、スズメバチの恐怖からか言葉が出なかったほどだ。

そして、帰宅すると、

 

あぁ~、ずいぶんとリフレッシュしたなぁ。やはり、都会の建設物の中に閉じこもっていると駄目だ、現代を生きる芸術家にはリスクを負ってでも大自然が必要だよ、などと独り言にするほどの余裕ぶりであった。気持良かったんだよね、山の風が。

 

そう、急に風が変わってきたよ。風の音、風の匂い。

 

この匂いに、私は毎年やられる。

 

もう、ブルックナー、ワーグナー、チャイコフスキー、マーラー。加えてシベリウスの音まで聴こえてきたら、もうおしまいだ、生きてこの現実世界には帰ってこれないような心地でいっぱい、ここまで来たら、ブラームスは室内楽でだってヤバイし、モーツァルトのピアノ曲で死んでしまう。

 

ここまで積み上げてきたものなど全てどこかに消え去ってしまう。

 

秋の匂いよ、お前は強い。

 

写真は、お気に入りの鍋の焦げを落とすために近隣店舗を駆け回り入手した一品。粉クレンザー。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

 

『眠』 2019.0911

眠くてたまらない。

毎日、そうだ。

 

例えば、私は子どもか学生のように寝たいだけ寝続ける。

そうしないと、いろいろと、もたない。

 

あぁ~、そういえば今日はお昼寝も3時間もしちゃったなぁ。。。

そのあと、夜は人と会って

 

帰宅して食事を済ませた今もまた、恐ろしく眠いんだよなぁ。

 

平均睡眠時間を取るとしたら、大体8~9時間くらいとなるのかな。10時間は寝る日もある。なぜだか、そのくらい必要な日もあるんだ。

 

今日は、あれかな。

 

昨日、練習していて見つけた発見が、大きかったから。

 

精神と肉体への作用、影響力というのが凄まじい感じだったから。

 

それで、まだ疲れているのかもしれない。

 

こういった新しいことというのは、新陳代謝の仕組みと共に身体に馴染んでくるものであるから、人というのは意識せずとも自然とより良いほうへと向かっていけるのだと信じている。暗譜は寝たあとに強固になるしね。

 

なので、喜んでまた寝たいのであります。

写真は、ひと月前の山の田んぼ。

 

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『指』 2019.0910

人には得意不得意があって、基本的には得意なことだけをやっているといい、と思う人間である。

例えば、私であったら、

事務作業は、苦手。メール一本送るのにも躊躇したりする。

まぁ、このへんはある程度は自分でしなければならないものであるので、仕方ない、と諦めてもいるのだけれども。

 

演奏に関しては、そうはいかない。

 

指が弱いのだ。

 

握力もない。細い。

じゃあ、何をすべきか。

 

私が出した答えは、

極力、押さえない。というものだ。

 

3の指なんて、しっかり押さえるのは無理だ。全身が硬くなっちまう、それよりも、むしろ甘く押さえて力を抜く。そうするとさ、3の指、私の薬指からは独特の音色が生まれ出てくるのさ。。。

 

それで今日は、ふと思いついて、曲の指使いを大胆に変更することとした。

「普通は、順当に行けばこういう指使いとなるよね。」というのを、

 

出したい音色で全ての指を考える。

 

そうすると、わりと有り得ない運指も生まれるのだが、案外楽に力が抜けた様子で弾けるので、技術的にうまくいきにくいということもなく、思っていた以上にスルスルと弾けるようだ。しかも、より芸術に没頭できる。

 

かの、ハイフェッツはリスクを好むから有り得ない指使いにしていたそうだが、私のは逆だな。

身体がちっちゃくて弱いから、真っ当なことができやしないからなんだよ。

 

というわけで、これから全ての曲の指使いを変えたもので身体に叩き込んでいくこととなった。これはこれで、リスキーかな。

写真は、昨日訪れた日比谷公園。緑の奥には公会堂が。

 

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『図』 20190909

こんばんは。

台風の凄さと、そのあとの今日の暑さにやられてもう何も出てこない田中幾子でございます。

いやぁ。なかなか立派な台風ぶりでしたねぇ、佐賀で生まれ育った私は、台風については一家言あるのですが、

今回は、短時間とはいえ、その強さは佐賀にいた頃を思い出しましたよ。これだけの強い台風は関東地方で体験できるものじゃあない。

と、思うのですが

 

自然災害をこのようにお伝えしても、喜ぶ人は少ないだろうから、話題を移します。

 

うん、今日はね、私は日中の空き時間に図書館に行った。出先と出先の隙間時間ですな、先週の土曜日に津原泰水先生の文章講座にお邪魔して以来、文章熱も高まっている。も、というのは、バレエ熱も高いからだ。

 

本の虫にその出生の由来をもつ私。

 

というと、言いすぎだが、

本については、ヴァイオリンを手にするより早い段階からのめりこんでいたらしい。2歳頃には、英字新聞を逆さにして読んでいたとか。逆さ、というのが2歳児なんですかね。今、思い出したが、音楽については生後2か月頃から母の通う合唱教室で抱っこされたまま私も通っていたらしい。つまり、どっちが先かなんて言えやしない。

 

要するに、本に囲まれているのが幸せだ、ってことですよ。

言いたかったのは、それだけ。

 

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『友』 2019.0902

毎日、山に行ったり、練習したり創作したり、という日々であるので、

いわゆるキラキラしていそうな、要するに”インスタ映え”するようなことはほとんど私の日常にない。

 

例えば、女子会というようなものも行ったことがないし、

仕事以外で友達と会う、ということがほとんどない。

 

なぜかというと、

 

私が思う友人とは、

 

一緒に音楽の舞台で芸術を緊張と愛情を抱きながら表現し合える仲間

 

という感じだから。

もちろん、音楽家でない友人という人とだったら、そんなことはないのですが。

 

でも、この一瞬を共に創り上げられる友人というのは、最高の友達だよな、と心から思うのです。

 

で、そういう人はいつも忙しいし、一番の会話は、やはり一緒に弾くこと。

 

だから、なかなかそれ以外では会わないんだよなぁ、たまに近況報告もするけどさ。やっぱ、音で確認し合いたいよね、だって、その曲への気持ちもやりたい事も、感性も何もかもそこで思い合えるもの!

 

だから、私が大事に思う友達ともっと仲良くなれるように、

そういう本番の機会を増やせるように、がんばろう、と思うのであります。

 

写真は、久しぶりに見つけたちょうど2年前の私。この日は、ブラックドレスを着て演奏して、ブラックスワンと呼ばれたのだった。

 

そんな、今日でした。

『歩』 20190901

先月のソロコンサートで、弾き方へのイメージが大きく変わったからなのか、

この春から始めた山歩きが功を奏して、健康的になってきたからなのかわからないが、

 

このところ、ずいぶんと子供の頃のような感覚と変化してきている。

 

大人になる、というのは、

童心を失う、とイコールなのではなくて、

 

あの頃好きだったもの、その動き、香り、鮮やかさ。

 

そういったものが、

 

長い年月を経て、大人になった私の中から改めて生まれてこようとしている。

 

これは、なんなのだろう?どうして、私は今読む書物が生き生きとしていて、好きだったバレエはもっと大好きになり、見るもの聴くもの全てが新しいような、そんな感じがするのだろう?

 

わからない。

 

けれど思う。

 

きっと、これは次への道の一歩、だと。

 

そんな、今日でした。

『覚』 2019.0830

早いもので、もうじき8月も終わりを告げようとしている。

不思議だなぁ、時の流れというものは。

 

芭蕉の書いた「月日は百代の過客にして。。。」という文言の響き、こういうときにいずこからか、思い出す。

 

昨日、暗譜をすると、初見ができなくなる、と書いたばかりなのですが、

あのあと、寝る前にふと気が付いて、違うやり方を少し試してみた。

 

暗記と暗譜と、それぞれ違うやり方でやってきていたのですが、

もしかしたら、今までの暗譜のやり方に加えて学生時代のときのような暗記のやり方でも暗譜に向かったら、自分の中身が少し成長できるかもしれない、と思ったから。

久しぶりに試したそのやり方は、うん。懐かしいしこれも良さそうだ。

 

高校時代を思い出す。深夜に丸暗記して翌朝7時40分からの試験に挑んだこと。

 

もうちょっと慣れたら成果が上がるかもしれないので、そうなったら初見もまたできるようになるのかもしれません。

と、嬉しくなった。

 

そんな、今日でした。

写真は、先日のソロコンサート開演前。踊るのも、好きなんだよね。

『困』 2019.0829

最近、困っていることが一つある。

私は、元々暗譜型なのだが、最近その性質がより強くなってしまって、

初見がかなり苦しくなってしまってきているのだ。

 

子どもの頃から、暗譜が好きで得意だったから、暗譜で弾くことに向いているのだと思う。

加えて、最近の活動は、ほとんどソロで難曲を弾いているから、当然暗譜だし、無伴奏に至っては当たり前のように暗譜だ。

 

バッハのシャコンヌは、私が使っているヘンレー版で、9ページ。

先日のソロコンサートで弾いたメインのコンチェルトは8ページ。久しぶりに弾いたバッハのプレリュードは4ページ、フーガは5ページ。

 

あとまぁ、自作の曲は譜面はほぼ書いていない。今のところ、全部覚えきった状態でやっている。

 

とまぁ、こんなふうであるから、初見でパッと弾く能力がかなり落ちてしまっていて、以前のようには弾けないんだよなぁ。。。

かと言って、初見能力が必要とされるものもあるわけだし、

本当に、困ってしまっているのであります。

 

でも、答えは

私にしかない。そうなんだよね。

 

とりあえず、目の前のことに全力投球。

 

写真は、今日見つけた茸。なんか、大きななめ茸のようだった。

そんな、今日でした。