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ふうあーゆー⑬
「!」
ハッと目が覚めたら自分のベッドの上だった。
あ、あれ。。。なんで、俺ここで寝ているんだ?
「お、起きたか?」
入ってきたのは、なんと、親父だった!
「あ、え、あれ、俺。。。あの。。。」
「祐樹、お前3日間も寝ていたんだよ。医者に来てもらったけど、なんの別条もないって。」
「え、えぇっ!?」
「今、見舞いにお前のおばさんが来ているよ。」
「え、え、あ。。。」
親父の声は普通だった。普通に聞こえた、ということだ。
猫の聴覚じゃなくなったのか?
手足を見ると、もう普通の人間に戻っているようだった。俺は、戻ったのか?
あれは、夢?で、でも3日間て?
叔母さんが部屋に入ってきた。
「ふーちゃん、大丈夫~?」
え、え、俺また猫の呼び名!と、思ったら叔母さんはふっと笑った。
「なーに、3日ぶりに起きたからびっくりしてるの?ふーってのは、君のパパとママの昔の猫の名よ。」
「ね、ねこ。。。」
「あの二人、若いときに一度別れてたらしいのよねぇ。勉強や就職のためって。」
そ、それって。。。(第13話終わり)
小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka
第一話からはこちら 小説『ふうあーゆー』
保護中: 〜時空のメゾン 街角のソリスタ〜
『解』 2019.0908
今日は、モーツァルトのフルート四重奏曲を演奏した。
割り合い、リハーサルを丁寧に時間と回数をかけていったのだが、
こうしていると
気が付かないうちに、いろいろなものが自分の中に入ってくるようだ。
面白かったのは、それのリハーサルの帰りのある日、
私のオリジナル曲で『メトロ』という曲が、いつかこれをピアノトリオにしたい、と思っていて、
そうしたら、
その帰り道でトリオアレンジのイメージがパッと思い浮かんだんだよな。
『メトロ』。公開当時より今のほうが断然カッコよく弾ける。
モーツァルトという人は、シンプルとよく言われるが、
もうちょっと追及すると、
絶妙なバランスで音楽を構成させている感じだ。
まるで、サーカスの妙技かな。
少しでも、タイミングがずれたり、バランスが取れなかったりすると身の危険どころか、命まで危なそうな、妙技の世界。その魅力。
ギリギリのところを交わしていくのだから、
実は、モーツァルトを演奏するというのは、非常に難しい。
で、その絶妙かつ微妙な繊細さの真っ只中で長い時間を過ごすと、何かしら入ってくるようで、
それが、とても大きい材料となりそうな気がしている。
なんだって、自分で弾くのが一番だよね。
何はともあれ、皆さま台風15号にはお気をつけください。
写真は、姪っ子監修画像。
そんな、今日でした。
『気』 2019.0906
気がついたら、ここ最近の私は数日前のこともすっかり忘れている。
不思議なもので、自分で書いた曲だとか、暗譜した作品だとか、こういったものは忘れないのだが、
その他の物事、
例えば、何曜日に誰と会ったとか、どこへ行ったとか、
もちろんお会いしたことやお話ししたもの、見たもの聞いたものといった内容はよく覚えているのだが、
時系列についてはだめだ。
すべからくして、記憶から抜け落ちる。
ただ、面白いのは
こうして活動が増えていくと
より暗譜や記憶の力は強くなっていく、ということ。
脳の使い方が変わるのだろうな、やることが増えるというのは。
で、最近の個人的新しい一歩は、
スマホカレンダーをやめて、紙に戻ったこと。
いやぁ、手で書くっていいものですねぇ。
写真は、山の周りに広がる畑の様子。
そんな、今日でした。
2019.1124 『美会夜会』~かっこいい曲しかやらない~
今年の集大成
2019年11月24日。
大親友のピアニスト藤井麻理ちゃんと、私の活動の最初からずっと力を貸し続けてくださる音楽サロンで、本年の集大成となるコンサートを開きます。
2019.1022『パガニーニ・ミーティングス vol.3』
2019年10月22日18時より、「オールパガニーニ」なコンサートを開きます。題して、『パガニーニ・ミーティングス vol.3』!
では、前回の内容を軽くご紹介しましょう。出演は、ヴァイオリン田中幾子とクラシックギター富川勝智(以下とみー)の2人です。
『眼』 2019.0825
今日は『青の時代 vol.4』本番そのものでした。
数日前から、演奏するときの感覚が大きく変わってきたからか、
今日はまた一段と緊張が激しかった。。。
でも、お客様にはそう見えなかったらしい。ふぅん。不思議なものだね、開演前にステージで確認していた終わりごろには足が震えていたのに。
でも、何度も来て下さっている方が
「研ぎ澄まされた感覚で隅々まで見渡せている感じ。音もすごく良かった。」
と、おっしゃって下さったので、
このところの変化の方向性は、悪くなかったのかもしれない。
思えば、2週間前の『パガニーニ・ミーティングス』のときと全く違っていたものな。そう話すと、
「目が覚めたのかもしれませんね。」
と、言われた。そうか、そうだったのか。
帰宅してふっと一息ついたところで、これからやっていく新しい企画のための準備を始めて、やっとゆっくりしているところです。
うん。この先も行こう。
そんな、今日でした。
ふうあーゆー⑦
捺美ちゃんは、週に2、3回訪れた。
そのほとんどは、塾に行く前の数十分と、土曜日の午後だ。
二人の様子を見ていると、捺美ちゃんはがんばって勉強していることがわかるし、ケイタも大学の勉強や就活も真剣に向かっていることがわかっていった。
捺美ちゃんがバイトをやめたのも、勉強のためだ。ダイエットは、それはケイタのため、なんだけどさ。。。
ただでも、一緒にいるときの会話のほとんどは捺美ちゃんの勉強のことだった。
ケイタは、かなり面倒見がいい奴のようだった。
それに、とても親切なんだ。
捺美ちゃんが何かに興味があるようなことを言うと、次に会うときまでにはそのことを調べて必要な資料も印刷してあげているし、何か食べたいときもまずケイタが作ってあげていた。
捺美ちゃんがそのことを気にすると、
「大学入ってからお返ししてもらうよ。」といつも言う。
ケイタもケイタでバイトもあるし、暇じゃないはずなんだが、こいつはいいやつなんだな。。。
あーぁ、俺もこのくらい勉強できたらなぁ。そしたら、もっと捺美ちゃんにいい思いさせてあげられるのに。
「ふうは、お利口だよねー。」
急に捺美ちゃんが言う。
今日の彼女はサラサラした髪の毛がとてもきれいだ。ただ、整髪料の匂いがジャマだな。俺が猫じゃなかったら、そんなこと気にならないんだが。
「そうそう、最近はちゃんと食べるし。ただでも、ちょっと寝すぎだけどな。普通はこの年齢だともっと遊ぶはずなんだって。」
「なんだか、普通の猫と違うよね?私たちの会話もじいっと聴いてるし。目にすごく何かあるような気がする。」
「そうだよなぁ。ふうがうちに来て、、、3週間くらいか。3カ月経って飼い主が見つからなかったらこのまま俺たちのふうになってもらおうかな。そうしたら、盛大にお祝いしような。」
ケイタの声はほんとうに嬉しそうだった。ケイタ、こいつに俺は好かれているんだろうか?
「そうだね!そうなったら嬉しいなぁ。」
あぁ、ほんとに似合いのカップルで悔しいなぁ、ちくしょう。
ケイタはそんなに美男子ってほどでもないが、俺よりはずっと顔がいいし、捺美ちゃんに対して常にレディファーストだし、こないだだって、捺美ちゃんから夜電話かかってきたときもすぐ飛び出していったんだよな。
あのときは急な豪雨で捺美ちゃんに傘がないからって、持っていってあげてたんだ。捺美ちゃんも家族より先にケイタに連絡するんだな。頼れるもんな。
「捺美さ、この鈴どう思う?」
「これね、なんの素材なんだろ?どうして金属なのに風鈴みたいな音がするのかしら。」
「俺さ、今度工学部のやつに見てもらおうかと思うんだよね。」
こ、この鈴か??
そうだ、俺が猫になっちまったあの日も寝ながらこの鈴の音が遠くから聞こえてきたんだよな!
俺だって知りたいよ。(続)
この小説のテーマ曲です。併せてお楽しみください。
ふうあーゆー⑥
精神的な疲労がひどいのか、それとも猫だからなのか、俺は一人になってしばらくするとまたうたたねをしていた。
あぁ、またあの音が聴こえるなぁ、なんなんだ、これは。。。
気が付くと、ケイタが台所でゴソゴソしていた。
あ、もう帰ってきたのか。
「お、ふう。起きたのか?これ、お前のトイレだよ。」
ト、トイレ。。。床の上に置かれたトイレ。。。当たり前か、人間じゃないもんな。。。
「なーんか悲しそうだなぁ、お前、ほんとに猫かぁ?でも、しばらくはガマンしてくれよ。俺も最大限努力するからさ。」
そっか。。。こいつも別に猫を飼いたかったわけじゃないしな。。。
「わかった、じゃあせめてこうしてやるよ。」
ケイタは押し入れから段ボールを取り出して蓋の半分を切り取り、もう半分を固定した。
「こうすれば見えにくいだろ?」
わかった、ありがとう。俺はそう思った。
「今、飯出してやるから。」
俺が黙って待っていると、皿の上に、数種類のおかずのようなものがきれいに盛り付けられたものを出された。まるで、どこかのおしゃれなカフェのワンプレートメニューのようだ。これはなんだ?見た目はステーキやハンバーグのようだぞ??
ケイタはケイタで、大きな器にやはりステーキとハンバーグを載せてローテーブルの上に置いた。
「よし、これで俺たち男二人の最初の晩餐だ!えーと、ふうの飲み物がないな。」
小さな可愛らしいガラス製の器に水を入れて置いてくれた。
「これ、全部猫が食べても大丈夫だからな?さっき、ペットショップで買ってきたんだ!美味しいといいな。」
ケイタは手に炭酸水が入ったグラスを持った。
「ふうとの出会いに、乾杯!」
ここまでされちゃあ仕方がない。
俺は目の前の食事に手を付けた。もとい、口を付けた。
うん、なかなかうまいぞ。なんだ、これは。マグロを使っているのはわかるが、塩分なしでここまで旨みを出せるものか。こりゃあ勉強になるぞ。
ケイタはケイタで、見た目は俺と同じメニューを食べながら時々俺の様子を見ている。
ケイタはこういうときにアルコールは飲まないのかな?下戸か?
「美味いか?このへんじゃ良さそうなペットショップだし、いろいろ置いてあってその中から人気のメニューを選んできたんだよ。」
へぇ、そうなのか。俺はこのハンバーグに見えるものの中味がシラスっぽいことが驚きだ。
「なーんか、ふうは舌が肥えてそうだなぁ。これは毎日は続かないし、どうしたものかな。」
なんか悪いなぁ。。。そんなふうに思ってたら、ケイタはまた新たな皿を目の前に差し出した。
そこに乗せられていたのは、なんとケーキだった!猫用のケーキがあるのか!
「ふふっ。こういうのも、悪くないだろ。俺は甘いもの苦手だから、これは相伴できないよ。」
ケイタは炭酸水を飲みながら、ちょっと得意げな顔をしていた。
俺は、本気で泣きそうだった。
こんな、情けない姿なのに、なんでこいつはこんなに親切なんだ??ケーキのように見えるこれもやはり魚から作られているようだし、至れり尽くせりすぎるよ。。。
食べ終わって、俺はまた眠くなった。
なんなんだ。
ケイタはケイタでパソコンに向かい、忙しそうだった。
「ふうのベッド、ここだから。」
部屋の片隅に用意された寝床は黒い柔らかそうな生地が敷かれ、傍らに小さな丸っこい小さなクッションとも枕ともいえるものが置かれていた。
これも、俺のために買ってきたのか?気になったけれど、確かめようもない。
俺はケイタの打つキーボードを叩く音を子守唄に寝入っていった。
あの鈴の音は、聞こえなかった。