Notes

『原』 2019.0923

どうもロシアものには親和性を感じる。

と言っても、一方的な片思いであるし、ロシアものならなんでも好き、とは口が裂けても思うことすらできないのであるが

ここで言う、ロシアものとは

 

ロシアのクラシック音楽。

 

つまり、チャイコフスキーやボロディン、グラズノフ、などと言った面々の音楽についてである。

 

もちろん、他にもたくさんいますよ。ムソルグスキー、スクリャービン、ラフマニノフ、キュイ、リムスキー・コルサコフ。バラキレフという人の「イスラメイ」なんて、とてつもなく楽しい音楽だな。あ、ピアノ曲です。

 

そんな中で、私が最も心惹かれるのが子どもの頃から変わらない。チャイコフスキーだ。

 

きっと理由は単純で

チャイコフスキーの音楽にのってバレエを踊ることが最高に楽しかったから!

 

東京から招かれたプロのダンサーたちと、チャイコフスキーの「眠りの森の美女」や「くるみ割り人形」の華やかな最終幕を踊る。夏休み中リハーサルだったこともあったな、あの年はドリーブの「コッペリア」だった。時の精の踊りと音楽にうっとりした。

ある意味、私の原点かもしれない。

 

でもなぁ、どうしても文学はだめなんだよ。長いんだよ。最後まで読めたのはツルゲーネフとトルストイの短編だけ。どうにかしてくれよって気分になってしまう。

 

ただそれだけの、話し。

写真は、先日見学した横浜ハリストス正教会。楽しかった。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『髪』 2019.0922

気が付いた頃には、髪の毛が長かった。

いくつくらいだったか、覚えていない。

ただ、母がいつも出掛ける前に私たち娘の髪を様々なスタイルに結わえてくれるのと、バレエを習っていたから習い始めた頃にはお団子ができるくらいの長さになっていたのだと思う。

 

前髪は、生まれてこの方、作ったことがない。

 

肌が弱いので、髪が皮膚に当たると出来物が生じたりするからだ。

 

人生の中で、たまにボブヘアにしたり、カラーやパーマをかけたこともあるけれども

 

結局のところ

 

この黒髪ストレートに落ち着いている。ま、これが一番いろんなスタイルにしやすいということですな。

 

だから最近は、巻き髪を作って思い切りアップにしたりすることも始めた。バレエやっていると、自分で髪を上げるので多少のことはできるようになるのですよ。

そのぶん、本番じゃないときは、ところん下ろしてリラックスしたり。

 

最近、三つ編みはやってないなー。またやろうかな。と、去年の写真を見て思ったさっき。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

ふうあーゆー 最終話

「そのときに飼ってた猫がふーって名前だったから、また付き合って生まれた君のことを最初はふーちゃん、て呼んでたのよ。」

「お、俺、夢の中で、その猫になってた。。。親父と母さんじゃなかったけど。。。」

「あら、なんかの暗示かもねぇ。」

 

俺は思い立ってその場で叔母さんに土下座した。

 

「叔母さん!お願いがあるんですけど俺、死ぬほど勉強して親父と同じ大学に入るから、学費出してくださいっ!!親父の給料じゃ足りないから!!」

 

その声は階下にも聞こえたようだった。親父が上がってくる音がする。

 

「そうねぇ~。」

 

叔母さんは真面目一辺倒な親父と違って要領が良くて、今は日本に訪れる外国人相手の物販ビジネスでかなり儲けている会社を経営していた。

親父よりよほど収入もあるし、勉強さえできれば大学に行けるかもしれない!

 

「ま、とりあえず今度の定期試験で学年上位に入れたら考えてあげる。」

「がんばる!」

 

部屋の入口に立ち尽くす親父は、会話の全てを聞いたようだった。

 

「令子。。。」

「親父。。。」

「あら、令子さんも心配されてるかしら。母校に祐樹くんも合格するのは悲願だったものね。」

 

叔母さんは、いたずらっぽく笑った。  

 

俺は今、捺美ちゃんと同じ塾に通っている。

正直ついていくことも大変だが、今までと違って勉強を投げ出すのではなくなんとか向かおうとすることを親父も応援してくれているし、勉強のコツも教わった。

なんで、今まで教えてくれなかったんだ?と聞こうと思ったが、猫だった時期を思い出してやめた。

もしかして、親父が恋人令子と付き合っていたときに教えていたことを思い出すことが辛かったのかもしれない、と。

ケイタは親父だったのかもしれない。

捺美ちゃんも、ケイタにいろいろ教わっていたしな。

 

「祐樹くんっ。」

 

交差点で信号を待っていたら、捺美ちゃんが声をかけてきた。あの猫の期間はなかったものだと思っている。

捺美ちゃんはドーナツ屋のバイトをもうすぐやめると言っているし、俺はあの日ドーナツを作っていなかったようだからだ。

隣で歩く捺美ちゃんの匂いがあの頃よりずっと繊細なのに強烈な印象を残す。

 

「私さ、第一志望変えようと思って。」

「そうなの、なんで?」

「うーん。。。なんか、もっと自分に合ってるものがありそうかな、って。祐樹くんは?」

「学部で言うと俺は商学部だよ。店を経営するのに経営の仕方がわからなかったら、せっかくの料理の腕も泣くからね!」

「じゃあ、私はどーしよっかな~!」

 

捺美ちゃんの声は晴れ晴れとしていた。なんなんだろう、このいい気持ちは。

あの鈴の音が聞こえてきた気がした。

 

「あ、猫がいる!」

 

彼女の指さすほうには確かに黒猫がいた。

俺と同じあの首輪と鈴。

 

「なんか、不思議な目をしてるよねぇ。」

 

捺美ちゃんの可愛さだけは、時空を超えるさ。

お前も見つけろよ、お前の人生と捺美ちゃんを。

 

俺たちは、赤信号になる前に道路を渡り切った。(終わり)

 

 

小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka

『弦』 2019.0920

昨日は、リハーサル三昧だった。

 

来週末、チェロとクローズドコンサートがあるので、メインとなるヘンデル/ハルヴォルセンの『パッサカリア』などを合わせて、

その直後はギターのとみーと『パガニーニ・ミーティングス vol.3』のリハーサル。

 

チェロの友人もとみーも付き合いの長短はあるものの、とても大好きな仲間だし、それぞれの音に合わせて音を考えていくことも気持ちいい。

チェロに合わせるのと、ギターに合わせるのでは、様々なことが違う。

 

昨日、如実に感じたのは音程の違いかな。

 

ギターは、フレットに当たった音がするから。ほんの少し金属的な音がする。

チェロは、ヴァイオリンに近い。

 

それだけでも、音程の取り方が変わってくるので、調弦も変わってくる。

 

実は、私は

とみーとやるとき専用の調弦の仕方、というのを持っているのだ。

 

とみーと付き合うようになって、いろんなギタリストの方々の演奏を聴かせて頂いたり、ご一緒したこともあるのだけど、

あいつの調弦の響き、ってもんがあるんだよね。

 

それにしても、こういうことをやっていくというのは非常に面白いものだな!

願わくば、このままずっとこれを追求していけますように。

 

写真は、日比谷公園の向かい。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『不』 2019.0917

今日は、案の定寝不足となった。

というのは、昨日の日記に書いた、津原泰水先生の小説がものすごくて大興奮してしまって、なかなか寝付けなかったから。

 

こういうと、子どものようなのだが、

 

感覚的に興奮すると、眠れなくなってしまう。

 

これは、芸術的なあらゆることに言えるんだよなぁ、昔初めてマーラーの音楽を聴いたときには一週間は眠れなかった。ドキドキしてしょうがない。

私は映画をほとんど観ないが、その理由もこれ。

 

映像によるいい作品は特に神経への刺激が強く、ずっと寝付けなくなってしまうからだ。

 

最近は、それがわかっているのでかかりつけの漢方医の先生に睡眠薬のようなものを処方してもらっている。

 

だけどさ、昨夜で飲み切っちゃったんだよね。。。次の診察までもつかなぁ?

 

大体、そうなった翌日は神経も疲労しているから調子が悪い。だから、今日は一日ぼんやりとしていたし、忘れ物をしたり、練習も進まなかった。

 

このへんとの付き合い方がね、難しいですわね。

 

私は、一人ガンガンロックなライブハウスでヴァイオリン一本で出ちゃうような精神の持ち主であるのだが、作品を受け入れるときには子どものようになってしまっているのかな、こんなんでこの先生きていけるのだろうか。

とりあえず、今日は寝ます。写真は山きのこ。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『続』 2019.0916 

今日は、津原泰水先生の小説『ヒッキーヒッキーシェイク』を読んだ。

「この子は、二宮金次郎なのよ。」

と呼ばれた大昔は、薪の代わりにランドセル日々是読書というような生活だったのだが、

今の私は、ろくに読書する時間が持てない。

 

”ヴァイオリン一本”と称して、なんでもかんでも無伴奏で弾いちゃうし作曲もあとピアノもさらうし歌も歌う、自分でお話しも書きたい健康のために山歩きおうちバレエも嗜む日々を送っていると、夜になる前にはクッタクタ、なんなんだこの量は!!

 

加えて、最近は己のゲージツカぶりがおかしいのか、

夜は眠れない。(こんなにクタクタなのに!!)

 

だから、神経の昂りを収めるべく普段はなるべく興奮しそうなことは避けている。練習だけでもそうなっちゃうから。

 

なのに、なのに

津原作品は、そんなこと許しちゃあくれない。

 

濃厚な文章というイメージだったが、講座のときのお話しのリズムと同じテンポ感。マーラーのような幾重にも織り成す物語とモティーフにピリッと効いた痛快さはリストみたい、でもシンプルなところはまるでベートーヴェンだ!

と、思ってたらあれ。

最後の最後に、来たよ。

 

家庭的なドヴォルザークの世界。正に『新世界より』の終わり方そのもの!この物語は続いていくといわんばりの伸び行く管楽器、さっきまでの世界と正反対だ、どこに連れていく気なんだ、この人は!!

 

あぁ。。。こんなの知っちゃったらもう戻れない。戻れないんだよ。

もっと読むしかないじゃないか!!

 

写真は、しばし呆然としたのちに練習したグラナドスのヴァイオリンソナタ。この曲には”火のように”という箇所があるが、激昂したベートーヴェンのクロイツェルソナタ1楽章にはその言葉は出てこない。でも今日の読書のあとではなんか納得してしまった。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

 

『国』 2019.0915

11月24日のデュオコンサート『美会夜会』の曲目を練習している。

今回は、様々な国や地域の曲たちでプログラムを考えた。

 

クライスラーはウィーンで、ベートーヴェンはドイツ。ヴィターリはイタリア。

グラナドスはスペインだし、ウィニアフスキはポーランド。

 

こうすると、一番の違いを感じる。それを表すのが最も難しい、と。

 

それは、国の違い。

 

言葉が違う。韻が違い、ステップも。それから温度も湿度も何もかもが違う。

譜面のどこかからか、色濃く伝わってくるそれを、

 

表す。

 

これは、本当に、

 

全身表現だ。。。すごい運動量を感じる。

そのぶん、疲労も激しいのだが、逆に面白さも同じだけある。だから、音楽は面白いってものだな。

 

そんな、今日でした。

写真は、山で見かけたかかし群。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『色』 2019.0914

時々発言していることなのだが、

練習っていうやつは、基礎の基礎みたいなところを時間を忘れて丁寧にやるのが、

一番楽しいんだよねぇ。

 

それは例えば、

 

絵も描かずに絵の具で遊ぶとか、

私の趣味で言えば、ただ単に辞書を読み耽るだとか、

 

一見、目的がないように見える。ただの遊び。

 

もちろん、曲をさらうのは楽しい。楽しいに決まっているんだが、

 

ある程度やると、基礎の世界に戻りたくなるんだよなぁ。

 

基礎ってのはさ、何も描かれていない真っ白なキャンバスに、

ぽーん、と

色がのった。

 

真っ白な空間に響き渡る色たち。

オレンジや青、茶色にピンク。。。

 

キャンバスがより白く、背景らしくなればなるほど、

色たちは、より綺麗に映る。

 

そうすると、色をのせる筆遣いもより洗練されてくる、っていうものだ。

 

そんなイメージを持っているのだから、

ベートーヴェンの物凄い油絵や、グラナドスのあまりに淡い印象派風の流麗な世界、クライスラーはそうだな、カリカチュアのような気がしないでもない。ヴィターリはもちろんルネサンス絵画のようだ、

という色に囲まれているうちに、

ただのキャンバスが、恋しくなってきてしまう。

 

もっと、いい色味を出せますように。

 

そんな、今日でした。

写真は、修学旅行中の姪っ子が送ってきたもの。

 

 

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『許』 2019.0913

気候の変化に、すっかりやられてしまい

また熱を出した。

 

こうなると、芸術家というのも因果な商売だなぁ、と思えてきてしまう。

少しの変化、風の音やざわめき、木の葉のゆったりとした空を切る舞。

例えば、アスファルトから聴こえる人々の暮らしの音からもその日を感じたりするのに、

 

そんな感受性といったようなものは、ある時にはこうして敏感すぎる肉体となって現れたりするのだから。

 

夜になって、少し調子が上向いてきたから11月24日『美会夜会』で演奏するベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を取り出してみた。

恐ろしい。

恐ろしい曲だ。

室内楽が大好きで、本当はそれをもっとやっていきたい。

だが、そんな希望を打ち砕くかのような、恐ろしい8分音符の羅列。いかにここに芯を入れられるか、あぁどう考えても彼の人は高すぎるエベレスト!!

 

今年から始めた”ヴァイオリン一本・無伴奏活動”により、かなり演奏体力はついたはずなのに、ベートーヴェン、この作曲家はそんな程度じゃあ許してくれやしない。

そう、許されないのだ!絶対に、許さないぞ!!。。。という強固な意思がビンビンと伝わってくるこの譜面。

 

今から2か月。ひたすら彼に捧げきります。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

『匂』 2019.0912

今日は、久しぶりに山に行った。

例の里山歩きである。

およそ、一週間ぶりであろうか。先週末の台風を経て、山の様子はそれまでとは変わっていた。

 

が、自然とは恐るべきもので

台風を逃れた蝉は鳴き、スズメバチは頻出する。

 

スズメバチ。初めて見たな。もう二度と見たくない。

 

なのだが、それでもなんとか歩いてきた。帰り道は、スズメバチの恐怖からか言葉が出なかったほどだ。

そして、帰宅すると、

 

あぁ~、ずいぶんとリフレッシュしたなぁ。やはり、都会の建設物の中に閉じこもっていると駄目だ、現代を生きる芸術家にはリスクを負ってでも大自然が必要だよ、などと独り言にするほどの余裕ぶりであった。気持良かったんだよね、山の風が。

 

そう、急に風が変わってきたよ。風の音、風の匂い。

 

この匂いに、私は毎年やられる。

 

もう、ブルックナー、ワーグナー、チャイコフスキー、マーラー。加えてシベリウスの音まで聴こえてきたら、もうおしまいだ、生きてこの現実世界には帰ってこれないような心地でいっぱい、ここまで来たら、ブラームスは室内楽でだってヤバイし、モーツァルトのピアノ曲で死んでしまう。

 

ここまで積み上げてきたものなど全てどこかに消え去ってしまう。

 

秋の匂いよ、お前は強い。

 

写真は、お気に入りの鍋の焦げを落とすために近隣店舗を駆け回り入手した一品。粉クレンザー。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』