シベリウス

『匂』 2019.0912

今日は、久しぶりに山に行った。

例の里山歩きである。

およそ、一週間ぶりであろうか。先週末の台風を経て、山の様子はそれまでとは変わっていた。

 

が、自然とは恐るべきもので

台風を逃れた蝉は鳴き、スズメバチは頻出する。

 

スズメバチ。初めて見たな。もう二度と見たくない。

 

なのだが、それでもなんとか歩いてきた。帰り道は、スズメバチの恐怖からか言葉が出なかったほどだ。

そして、帰宅すると、

 

あぁ~、ずいぶんとリフレッシュしたなぁ。やはり、都会の建設物の中に閉じこもっていると駄目だ、現代を生きる芸術家にはリスクを負ってでも大自然が必要だよ、などと独り言にするほどの余裕ぶりであった。気持良かったんだよね、山の風が。

 

そう、急に風が変わってきたよ。風の音、風の匂い。

 

この匂いに、私は毎年やられる。

 

もう、ブルックナー、ワーグナー、チャイコフスキー、マーラー。加えてシベリウスの音まで聴こえてきたら、もうおしまいだ、生きてこの現実世界には帰ってこれないような心地でいっぱい、ここまで来たら、ブラームスは室内楽でだってヤバイし、モーツァルトのピアノ曲で死んでしまう。

 

ここまで積み上げてきたものなど全てどこかに消え去ってしまう。

 

秋の匂いよ、お前は強い。

 

写真は、お気に入りの鍋の焦げを落とすために近隣店舗を駆け回り入手した一品。粉クレンザー。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

 

『語』 2019.0710

私がこの日記であまり音楽の内面の部分を語らないのには理由がありまして、

それは、言葉で一つ一つ表していると一生かかっても語り尽くせないから、というふうに思っているからなのです。

だからまぁ、私が感じていること、思っていることはできうる限り自分の演奏や音楽、表現でお伝えしたいな、と思う。

 

そうしないと、私の中にグリーグの不思議な山の精霊たちやシベリウスの凍てつく土地、チャイコフスキーの土埃が舞う大地やモーツァルトの彼一流の冗談、ラヴェルのクールに見せながら実は熱い熱い芯の部分などが無数に飛び交っているのを表せないままになってしまう。全てに一瞬一瞬思うことがあるから、とても言い切れないよ。

 

で、もっと表現に集中したいのだけど、創作というものも、やればやるほど自分のダメなところが露になってくる。

 

弾けないとダメな自分になっちゃうし、創作してもダメな私がいる。

 

こうやって自分の小ささを感じる。それだけ音楽っては大きいってことだね。

ま、目の前のことから精一杯やるぜ。

 

そんな、今日でした。写真は、こないだ見つけた街角。こういう街並みの愉しさは東京ならではですよね。

ソロコンサートシリーズ「青の時代」ヴァイオリン超絶技巧無伴奏、オリジナル曲、即興演奏など。8月25日エムズカンティーナにて。『青の時代 vol.4』

オールパガニーニプログラムシリーズ『パガニーニ・ミーティングス vol.2』