今日は、お世話になっている楽器屋さんで急遽展示会が開かれたので行ってきた。

というのは、ここの展示会は世界でも選りすぐりの楽器を扱うディーラーさんとされるので、

「世界中で今ここにしか集まらない」

タイミングで、イタリーの楽器が集まってくるから、選ばれ方がすごいからだ。

 

もう一つは、信頼しているお店の選定だから、基本的に相性が合う楽器しかない、ということ。数があればいいというわけでもないのです。たくさんありすぎるとわけがわからなくなってしまう。疲れて、どの楽器がどうだったか、感覚が麻痺してしまうから。

 

予約制の展示会で、今回も一億円、二億円を遥か上回る楽器を弾かせてもらった。ストラディヴァリウスとかガダニーニとか。モダンイタリー(作られてから100年以下のもの)の中では私のお気に入りはファニョッラという人の赤い楽器。これで2千万円以上だ。イタリーの楽器はこの数十年以上、年々値上がりしていてその傾向はこの先も変わらないそうだ。ちなみに、弓だって最高峰のフレンチボウは1億円を超えている。

 

私は、そんな世界に喜んで身を置いている。

 

それで、今日の感想は、

 

私は、ヴァイオリンが好きだなぁ。

 

ということ。

 

弾いていて、気持ちいい。どんどん楽に弾けるし、力が抜ける。こうやって楽器と自分自身で弾いていていいんだ、何も難しいことを考えなくても(いや、いろいろとやるのですが)、ヴァイオリンの音楽というのは、遥か彼方にあるのではなくてこうやっていけばすぐここにあるんだ。

心地よい疲労は、温泉みたい。

 

こういうときは、難しいものは弾きたくないんだよな、基礎の古典、例えて言うなら徒然草や枕草子のようなシンプルだけどずっと人に読まれるもの。そういうものをゆっくりと弾くのが気持ちいい。だって、構えている顎や肩、指先にまで響きが伝わってきてそれが最高に心地良いんだもの!

 

私の楽器は、そんな金額じゃないしそこまでのポテンシャルもないが、

帰宅してから、久しぶりにさらったモーツァルトとバッハで、その感覚で弾けたから、「練習」のイメージも変わりそうだ。暗譜していて良かった。身体に入りきっていないと、この感覚は掴めないと思う。全部の音は全て違う。身体も変わる。その、気持ちよさ。

 

あ~、ゆっくり音階さらいたいな。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。