田中幾子

『食』 2020.1129

低血圧なので血行が良くないから食事量をあまり取れないと医師の診断で判明してから、まぁ普通の半人前ほどのボリュームで栄養価やカロリーがありそうな食事を心掛けているんですけど、

実際、これまでも一日に林檎一個しか食べられなかった時期とか、食事以前にスポーツドリンクしか喉を通らなかった時期を乗り越えてきているのと、我が家はみなあまり食べる人たちではないのでわりあいその状況はすんなりと受け入れられている。

 

母も低血圧並びに貧血症かつ胃腸も弱いうえに大昔胃癌で胃を半分取っているからやはり半人前生活。姉は母より食べない。今の私はそれより食べられない。

 

が、我が家は元来大変に食べること大好き家族である。以下、我が家における上手いものラインナップを見よ。

 

・子供のときのおやつは手作りケーキやクッキー、アイスクリーム。誕生日に2段ケーキが出てきたときは感動した。

・雑炊には海老や帆立、海産物が必ず3種以上

・パンはもちろん手作り

・梅干し、味噌も手作り。父が存命中は梅酒も。あと苺のシロップというのも毎年作っていました。佐賀は苺が美味しいからね。苺のババロアも美味しかった。

・豚肉を3日間燻製しベーコンにする

・鶏ガラを3日間煮込み、ラーメンのスープにする

・フレンチのコルドンブルーのレシピでミートソースを3日間以上煮込む

・牛テールのスープで蕪を煮る

・きんぴらや卯の花は丼に盛る量で作る

・そういえば伊達巻も作っていた。たぶんカステラはない。

・ここまでしておいてマックのポテト再現もやった。確か低温調理が肝要だったはず。

 

要するに、母は我が家の家族構成員がみなわりと食べられない人種であるから丁寧に作っていたのだと思う。

 

だから、私もねぇ。

 

ほんの一口のためにあれこれやりたくなるんですのよ。

 

ドン〇でオーストラリア産バターを塩入、なしと双方買い込んで、熟れに熟れた洋梨でいわゆるカトルカールを焼き、昨日はクレープを焼いた。レーズンをブランデーに浸けておいたものをレディーボーデンのバニラアイスと和えて添える。粉砂糖。コーヒーには気分でウィスキーを垂らしても良い。

朝食は、味噌汁とご飯。八丁味噌ベースの合わせ味噌です。利尻昆布でとった出汁に鰹を加え、豆腐とお揚げ。白菜やエノキの他、気分で牡蠣を加える。小葱で完璧ではないですか。

 

その他、鶏ガラ玉葱と人参でフォンドボーを作っておきスープやちょっとしたものに加えたり、サラダ用オリーブオイルはワンランク上のものにしたり。行きつけのスーパーは魚介類が豊富なので、刺身を買い込んだり。刺身と酒以上に旨いマリアージュというのはなかなかないのではないだろうか。チーズとワインが旨いのも知ってるけどさ。ブルーチーズ食べたい。

 

 

母は、稚内の製麵所「北海屋」の娘なので、食べるものには詳しく、また厳しい。北海屋、ご愛顧頂いてたのですが叔父逝去につき数年前に閉めました。

その母は、北海道と佐賀とボストンと、それぞれ美味しいものを探す嗅覚に長けており、あ~ボストンでロブスターをポン酢で食べたのは最高に美味しかったな!現地でのアドバイスによりフレンチのソースも試したのだが、生きたロブスターをそのままきゃあきゃあ叫びながら熱湯の寸胴鍋に突っ込み、適当なところで取り出してポン酢。いやぁ日本の醤油はオンリーワンだね。あのボストン時代、母が日本からキットを取り寄せて作った豆腐の旨さといったら、さすが大豆を蒸すところから作る豆腐というような格別な品はそれ以後も食べたことがないほどの旨さであった。

 

要するに、私は旨いものが食べたい。それだけです。あとコンサートもしています。

写真は先日訪れた海辺の風景……スーラの点描が目の前で展開されたんだよ、来春ここでコンサートやるんだよ。

 

誰もやっていないパガニーニ。オケよりこのギターとのデュオのほうが遥かに難しい。

 

 

2021/1/17 Paganini Meetings8

 

 

 

 

 

 

 

『悩』 2020.1020

今日は悩ましい出来事が起こった。

 

これについて、私は未だ誰にも話していない。家族にも友人にも。

 

これまで、何か起こったらすぐさま誰かに相談していたのだ。その時一番信頼できる誰かに。

 

では、今、その信頼できる誰かがいないかというと。

そうではなくて、私はこの出来事を自分独りで未来に向けて進めていきたいと思ったから、

 

だから、

 

誰にも話していない。

 

思えば、人生の決断時。

 

一番大事な時には自分で決めていたような気がする。私は何かと過保護に育てられたような印象を人に与えるしきっとそうなのだが、私の母は人に「この子は男です」と言う。「普通、女の子は親に色々と相談すると聞くのに、一切相談しない。全部自分で決める」と言う。

 

そうなのかもしれない。それでも、今までは誰かがいた。

 

 

でも、今日からはいない。

私は、私のことを自分で決める。何故なら、このことは説明がし難いからだ。そしてどういう結果になったとしても私は現時点より遥かに幸せだし、今のこの瞬間だって今朝より遥かに幸福だ。そうなんだ。写真は、大昔に描いた竹の絵だ。自分で描いたこの絵が私は大好きだ。竹の成長の様子と竹の持つ生命力。描ききれていない悠久の世界まで感じるからなのだ。そうだ。

 

 

直近コンサートは2020.11/1 Paganini Meetings7  

悩みの先をしかとお見届け下さいませ。

 

 

 

 

 

 

 

『Paganini Meetings7』11/1 14:00~

パガニーニ。

世間一般でのイメージは超絶技巧、伝説のヴァイオリニスト……、ちょっと詳しい人なら悪魔のようなヴァイオリニスト、だろうか。

 

実は、彼は同時代の音楽家たちにもっとも影響を与えた人だと言われている。

そうそうたる歴史的音楽家たちが、総じて彼の演奏を聴きに行き、涙し、生き方を変えるほどの影響力があったようだ。リストを始めシューベルト、シューマンのところは夫婦で驚いたようだ。ワルツで有名なヨハン・シュトラウス、あのショパンだってそうだ。ずっとあとになってロシアのラフマニノフもパガニーニのカプリスを元にした、更に悪魔が飛び交いそうな曲を書いている。パガニーニの主題による狂詩曲。ラプソディーのことだが、狂った詩とはまさにパガニーニのイメージそのものだ。

 

特に、リストが受けた影響は顕著だったようだ。このリストという人も音楽史において革新的なことをやっている。きっとその元になったのがパガニーニだったに違いない。

 

パガニーニ。その人の曲はどうなんだろう。

いわゆる超絶技巧が繰り広げられる協奏曲は、音楽としては目新しいものはない。だって、パガニーニは自分のテクニックを知られまいとして、オーケストラが初見でも弾けるような簡単な伴奏しか書かなかったからだ。彼は、演奏会のその日にしか譜面を渡さなかったしすぐ回収した。

 

無伴奏で弾く24の奇想曲。これはなかなか奇想天外で珍しい。

 

更に言うと、彼の晩年に書かれたバルカバ変奏曲。これは、その奇想曲と双璧として書かれたもので、奇想曲並の超絶技巧を必要とする上にギターの伴奏がまた微妙な具合で効いている。実は、これこそがパガニーニの作曲家としてのセンスの発露がある作品ではないかと思う。オーケストラ伴奏の曲とは、まるで異なる妙なるセンス。演奏は非常に難しい。技巧の他に、独特な何かが必要となるのだ。なぜ、ギターとのデュオにはそのような要素を入れたのか。それは彼がギタリストでもあったからなのだろう。そう思う。

私は、このバルカバ変奏曲集をギタリスト富川勝智氏と取り組み続けているから、彼のギター視点での音楽作りを肌で感じている。

 

パガニーニはギタリストだった。その知られざる事実を元に、彼の音楽性をお聴き頂くシリーズ『Paganini Meetings』。次回は11/1です。ヴァイオリニストとしては、彼が同時代の天才音楽家たちを天に昇る心地にまでさせたその音色と表現力を追求したく思います。

パガニーニ・ミーティングスVol.7

2020年11月1日 

14時開演(13:45開場)

出演 Vn:アイティ Gt:富川勝智

会場 M’s cantina

入場料 前売り2500円、当日3000円(ドリンク別途)

ご予約 03-6450-8111 t-moment@kmd.biglobe.ne.jp

主催     moment

 

皆様のお越しを心よりお待ちしております。