Notes

『夢』 2024.0902

私には夢がある。

このユア・オーケストラを始めたときから。

それに繋がる道筋として、今グッズ販売を始めようとしている。

 

オケに限らず、コンサートはお金がかかる。満席で収支がやっと釣り合うかどうかだと言われる。クラシックのみならずポップスやロックもそう。皆様に楽しんでもらえるコンサート作りをしようとしたら経費がかかるのです。

それではどこで収益を上げるのかというとグッズ販売。

音楽家なんだから、音楽を売ればいいじゃない。と思われるかもしれない。

ですが、音楽制作(クラシックならレコーディングから販売まで)はまたすごくお金がかかるのです。それに現代では配信で聴くことが多いため、この配信てやつがまた雀の涙ほどもアーティストには収益が入らない仕組みなので、実は現代は音楽そのものは売れない時代。CDならまだいいけど、そんなに多く売れるものでもないですし。

 

比べたらTシャツは、実は私個人が作るのにも在庫リスクゼロ、簡単に作れちゃう。

加えて、私は私のデザインで制作するから著作権使用料やデザイン料もかかりません。

 

 

(このデザインね。画像には盗用防止ウォーターマーク入れています。)

 

で、これでどうしたいかというと。

 

ユアオケを少しずつ、小さな規模からでも始めたい。最初は4名ほどの弦楽四重奏くらいかもしれない。

それでも、Tシャツの利益を元に、あまり高くない参加費でプロを振ることができる、そんなコンサートを少しずつ積み重ねていきたい。

できたら年に数回は、小規模なもの、そして大規模なもの、そういうプランを立てていきたい。

 

最初は楽譜読めなくたって振れるような簡単アレンジを中心にしますが、いずれはもっと長く10分くらいとか、ほんとに原曲そのまんまとか、

そうなると指揮をしたい方にも少しずつ音楽を学んで頂きたいから、友人たちと連携してユアオケ用の指揮講座とか、簡単音楽レッスンとか。

 

大規模といっても、最初はオケの人数は25名程度で、そこまで大きいホールでは考えていない。

けど、例えば日比谷の野音とかでやりたいんだよね~、大都会のあの公園の中でプロオケを指揮できるって楽しそう!!

 

そうして、いずれはサントリーホールで開催できるような。サントリーでベートーヴェン振れたら最高じゃない!??

 

という、夢です。

 

これもそれも、資金がないとできないこと。

ないなら、作るしかないね。

 

ということで、Tシャツ販売を始めます。ただいま試作中なので、販売開始は9月後半以降です。

できたら長く長くいろんな方に買ってほしいから、シンプルなデザインでお色違いや素材も揃えていくつもりです。この一歩が、夢のサントリーホールにまで繋がるように。

 

写真は去年新宿でやった路上姿。私にとってユアオケをやっていくのは路上と同じくらい度胸がいることだから。

 

ユアオケ関連日記 

『弾』20240309

『進』 2024.0327

『今』 2024.0629

『今』 2024.0629

今年3月頃から、Your Orchestra を始めると宣言してからおかげさまで興味を持って下さる方が増えてきているようで、

それに対して私の準備のほうはとても遅々としていてなかなか進まないのですが、現状をご報告いたします。

 

自律神経失調症たる私の症状のほうは、治療により徐々に良くなってきています。ただ、運動や練習による疲労にはまだあまり耐えられないので、短時間を少しずつ繰り返す。その都度脳の果てまでくたびれ果ててしまうことも多いため、正直今は以前やっていたようなパガニーニだけのライブとかソロでヴァイオリン無伴奏からピアノまで弾いて歌も歌って……というようなパフォーマンスはできないな、という感じです。つい数日前もちょっとがんばったら疲れて発熱してしまったし。

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『髪』 2024.0427

指揮者になれるというオーケストラ企画、これのために日々エベレストのような傑作をアレンジし続けているわけですが、

そんな中で「これは絶対無理だから、やりたい人は大勢いるだろうけど絶対やらない」

と思っていたある名曲に

「あれ、これこうすればできるんじゃない?」

と思ってしまい、

 

結果、その曲を一生懸命勉強して(勉強のためにまずピアノ練習して)

脳内がその作品や作曲家でいっぱいになってしまっているわけであります。

 

そうすると、何をしていても気になっちゃうんだなぁ~……私の恋するその音楽を書いたその人のことが。

 

そう、その夜私はとても疲れてしまっており、もうこのまま髪の毛もとかさずに寝入ってしまおうかと思っていました。

が、そこで思い出したのです。

恋するその音楽を書いたその人のことを。

 

その人は、髪の毛がもじゃもじゃの肖像画で有名で、実際身だしなみだとかいろいろに難があったとも言われていて、その中でも最強の説は

なんとお客様も来る作曲用の部屋のピアノの下にトイレ壺をそのまま置いてあったそうで、それはもうわざわざ想像する必要もないくらい凄まじいことになってしまっていたそうなのです。きっとその人の言い分は、用を足すために別室に出向くのも我が芸術にとってはくだらないことだから、だったんだろう。

そしてその話はその人亡きあと現代の極東日本においてまで知られるほどの威力を発揮してしまっているんだけど、なんてことだろう!

 

そんなわけで、私は自分が髪の毛もとかさずに就寝してしまうのは芸術性の程度からいってその人がトイレ壺をそこに置いてしまっていることと何ら違いがないのだとその瞬間雷光に打たれたかのように悟り、結果ちゃんとお手入れをして休んだのでした。だって、私がもっと素晴らしくできていたらそれは同程度とならないのかもしれないけれども、私なんかその人の銅像に止まる蠅くらいの芸術性なんだから、せめて髪の毛くらい……!!

 

この写真は、別日クローズドの演奏会場で友人に隠し撮りされていた髪の毛お手入れの様子。この日はベートーヴェンは弾いてないよ(あっ、その人の名前を言っちゃった!)

そんな、お話しでした。

 

『進』 2024.0327

おかげさまで前回の日記は様々反響を頂き、多くの方とお話しできました。

さて今回は、具体的なことに触れていきます。

 

まず、指揮ができるオーケストラって。どんなの?どうやってやるの?ということ。

オーケストラの奏者は基本的に私の友人たち。長いこと一緒に演奏の現場でやってきた人たちやその友人仲間が中心です。普段はプロオケや映画・CMのレコーディング、後進の指導などで活躍している方々です。

 

そして、どうやってやるのかということについて、私が考えていることは

①クラウドファンディングで資金を集めて

②いろんな人が指揮をできるように有名オーケストラ作品を私が指揮しやすいようにアレンジをして

③楽譜が読めなくても指揮できちゃうくらいにする!

 

こんなふうに考えています。

 

①については、クラファンは資金全額が集まったら実行する(足りなかったら実行せずに返金する)パターンと、一部資金でも実行するパターンとあるのですが、今回の場合は前者を考えています。

②については、もう金管とか打楽器大活躍するような、これぞオーケストラ!って作品をなんと!アイティ得意の3分仕立てに編曲し!

③更にそれを動画で簡単解説、耳コピできちゃえば指揮できる!

 

と、やってみようと考えています。

 

アイティお得意の3分仕立ての例として、モーツァルト『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』全20分ほどの作品を3分仕立てにしたアレンジがありますので、よろしければご視聴ください。

 

この演奏は、私のヴァイオリンで多重録音しています。実際にこの企画で行う際はもうちょっとオケっぽい音にしたい!けどお金も技術もないからどーしよ!って思っているところです。

 

で、今はまずアレンジに手をつけているところ!私一人で弾くんなら簡単なんだけど、ちゃんとした譜面(オケの演奏用)にしていくことを考えると非常に非常にとてもたいそう時間と手間がかかって遠回りを3歩歩いて2歩下がるかのように歩んでいるところなのですが、幸いわたくしはこういったアレンジなんかも嬉々としてやっちゃうようなタイプなのでそこは一人で大変喜びながらやっております。

あとは、これを動画にしていって、クラファンにして……となるといつになるのか全く分からない、読めないけどまぁ何か月かしないうちに何か発表できたらな、と思います。

 

それで、体調のほうは

生まれつきの低血圧と自律神経失調症を煩わしいほど患ってしまっているのですが、原因のほとんどが音楽的でない作業や会合、やり取りだと分かっているので、今後はできるだけそれらを省いて周囲にも手伝ってもらいながら進めようと準備しているところなので、平気だと思います。現在、これをできるように体力増強、普通の生活目指して毎日頑張っております!

 

というわけで、応援してね。

このオーケストラ、「あなたのオーケストラ」→「Your Orchestra」→略してユアオケです。

速く、皆様にお目にかかれますように。

 

写真は、絶賛アレンジ中の様子激写。

 

『弾』20240309

これを読んで下さっている方々はきっといくらか私のことに興味を感じておられることと思います。

この2年以上、あまり演奏活動をしていなかったことについて、そして今年の活動について書きたいと思うのでどうぞ最後までお読み下さいませ。

 

2021年、コロナ真っ只中に私はあるご縁から「普通の人がプロオーケストラの指揮者になれる」という趣旨の『Your Orchesrtra』というオーケストラを立ち上げ、演奏会を主催しました。

本当に、公演の裏側の事務的なことからオケのコンサートマスター・ソリストまで全部自分でやったのだ。

このオケは「演奏を聴かせる」オケではない。

普通の人でも指揮者になれて、プロ奏者たちがその指揮で演奏をする、というもの。正にオケを楽しんでもらうためのオケなのです。

 

当時これを主催したことで、周りのいろいろな方々からこの企画について大きな賛同を得られたし(同じくらい反対意見も頂いたが)、その後もこの企画を継続するために多くの企業さん方ともお話しをしていました。

 

なのですが、とても楽しくて面白いけど収支が合わない、私が無名すぎる。それでどのお話しも流れていったんだよな。

 

そして、私自体も裏方を全部やった疲弊で大きく体調を崩し、その後現在まで体調の波が激しくとても演奏活動ができる状態ではなくなってしまっていました。特に裏方をやったのが良くなかった。そうでなくてもコンサートマスター、そしてソリストとしての重圧がかかっているのに、この企画の主催者でもあり初の試みだったので、かなりの作業があり、それは公演当日出演して下さったヴィオラの大先生にも「君は一番やっちゃいけないことをやってしまっているんだよ」と厳しく言われてしまったほど大変なことでした。やはり演奏する人はある程度は自分の演奏に専念しないと……それまで行ってきていた公演に比べて遥かに規模が大きかったので、自分の処理能力を越えてしまっていたのですね。そんなわけで治療をしながら家族や周囲の助けもあり回復に努めている現在であります。おかげさまでだいぶ回復し、こうして今年の抱負をお伝えできるほどにまでなりました。

 

そうして、今年の抱負とは。

 

その『Your  Orchestra』を開催することです。

 

大きい企業さんでもできない、と言われたこのオケですが、私個人が主催するならあまりいろいろ気にしなくていい。私ができる範囲でやるからね。

 

今、このオケをできるようにするための準備に取り掛かっているところです。

 

もちろん、普通の人がオケを振るためだけの企画なので、開催にはかなりの課題があり、ちゃんと開催できないかもしれない。それについては分からない。やり方としてはクラウドファンディングを使って広くお知らせしていきたいなぁと思っています。今度は体調が悪くなるようなことはなく、上手く付き合います。もう分かったから。

 

オーケストラってすごく大変で、それは日本の場合はほとんどのプロオケは税金で運営されていたりそれでも赤字でいつ潰れるか分からないところだってあると思う。

 

私の『Your Orchestra』だって、内容は面白くたってどう考えても採算が合わない。楽しいのは指揮者になれる人!

 

ではなぜやるかって、

 

それは、ベートーヴェンが書いたオーケストラ音楽が素晴らしいからなのだ。ベートーヴェンに限らずモーツァルト、ブラームス、チャイコフスキー、ドヴォルザーク……この感動を挙げていったらキリがない際限がない。それこそ墓場まで話し続けても全く終わらないくらい凄い、これが芸術。人生。

 

そう思う人々がいるからこそ、続いているわけだ。

 

オーケストラ音楽というのは、たいていどの作曲家も作曲家としての最大の仕事をそこで行っていて、だからこその傑作がたくさんある。それをぜひ体感してもらいたいから、私は私のやり方で開催したいと思います。

 

ちなみに『Your Orchestra』は現在ウェブサイトからYou Tube までお掃除中。ロゴから作り替えております。お金がないからこういうことも全部自分でやるんだよ……。

 

それとね、それとは別にアイティ個人のアーティストとしてオリジナルやらやりたいことを聴いて頂くためのライブ、これもやりたいと思っています!ちなみに寝込んでいたから何もしてないかっていうとそうでもない。体幹を鍛えたり姿勢を改善、足の使い方、立ち方……演奏についてはこの籠っていた間に力がついた!と思う!

 

そうそう『Your Orchestra』というのは、文字通り『あなたのオーケストラ』なんだよな!これからの時代は今までのクラシックのイメージとは大きく違う楽しみ方で提供していきたい!そう感じてもらえるよう私のちょっとしたアイディア、考えも付け加えております。ま、開催できなかったら路上で弾くよ、私は。この漢字日記のタイトル通りだ。

 

お知らせまで、ちょっと待っててね。

 

写真は、昨日の誕生日に撮った近影。決意と共に。

 

Performed by I.T

アイティのオリジナル楽曲をご試聴頂けます。

 

『工場地帯午前0時』

『冒険ピエロ』

『雨女』

『夕景』

『見晴らし台まで』

 

ダウンロード販売サイトはこちら

 

ともよさんとみやびちゃん

8/26『原宿仮面舞踏族  Dear Amadeus』共演ピアニストの堀部ともよさんとパーカッションのみやびちゃん。

 

まず、ともよさんのご紹介。

東京生まれ。4歳よりピアノを始める。北鎌倉女子学園中学校音楽科、高等学校音楽科卒業。東京音楽大学器楽科ピアノ専攻卒業。同大学院鍵盤楽器専攻室内楽研究領域修了。 ピアノを日比谷友妃子、武田真理、花房伸江、青柳いづみこに師事。室内楽をクラリネット奏者の吉田誠に師事。 2006年よりマリンバとデュオで演奏活動開始。毎年リサイタル開催中。2009年ピアノデュオリサイタル開催、2017年、自身主催のサロンコンサート「クラシック日和」、2020年9月より作品や時代背景まつわるエピソードをとことん語る演奏会「おはなし!クラシック」を開催中。 2019年デビューCD「ともよあずさ」発売。サブスクなどでも発売中。2020年〜世田谷区にあるガーデンカフェときそらの音楽ディレクター兼ピアニスト。月一回のクラシックイベント開催中。2022年1月〜「吉田誠 室内楽セミナー」専属ピアニスト。

 

みやびちゃんのご紹介。

2000年12月1日生まれ。小学校3年でドラムに興味を持ち、打楽器を始めるきっかけとなる。北鎌倉女子学園高校音楽家卒業、現在東京音楽大学4年在学中。これまでに打楽器を西久保智広、村瀬秀美、杉山智恵子、佐藤直美に師事。バンド活動など、ドラムをメインに活動中。

 

 

このお二人は北鎌倉女子学園音楽科という学校から東京音楽大学に進学された大先輩と後輩、なのだが。

実は今回初めて知り合ったんだな。

 

私がともよさんと知り合いで、みやびちゃんとも知り合いで、なんとなく(このお二人ならアイティアレンジにお付き合いしてくれそう……)という勝手な妄想から共演を頼んでみたら二つ返事でOKで、しかも実は高校から大学までまるで同じ、みやびちゃんが習ったピアノや打楽器の先生もともよさんもよくご存知、ものすごい繋がりがあるお二人だったのだ。ちなみに、クラシック音楽界だと師弟関係というのは自分自身の音楽そのものを師匠に育まれて初めて弾けるようになるものだから、とても濃密。”先生と生徒は恋人同士のよう”と言われるほど音楽を通じて深く精神的な間柄となるものであるから、我々の世界では自分の師匠という方は死ぬまで師匠、あの世の向こうでだって敬愛する先生、なのだ。

 

原宿の町の中で出会った、偶然なのに濃い繋がり。

そこに居た私も、驚いている。

 

そんなともよさんとみやびちゃんを写真でご紹介しよう。

 

ともよさん

 

みやびちゃん

 

あら、ずいぶん違う世界で生きていそうね!

 

なんだけど、アイティの手にかかればきっと楽しい音を奏でてくれるに違いない。ベースに同じものを持ったお二人だからね。

それは8/26『原宿仮面舞踏族  Dear Amadeus』会場にて、お確かめ下さい!

 

 

 

『作』 2022.0617

最近考えていることは、販売サイトを作ることだ。

主な売り物は、自分の曲。それとクラシック。文筆。

 

物というより、ダウンロード用。

 

曲に関しては、新曲もいくつかあるしジャズナンバーをアイティアレンジにしてもいい。弾いてもいいし歌ってもいい。

そういった音楽とそれに合わせた言葉たち。

 

なぜそういうことをするかというと、クラシック音楽界では物を売るという考え方があまりないのだよな。でも、毎回コンサートのときに新譜があったら楽しいじゃない。これからやろうと思っているコンサートのシリーズでは、毎回プログラムに沿った新譜を用意しようと考えていて、そのためにまず自分自身で通販ができるようにしようと準備している。クラシックもアイティアレンジにしちゃうよ。

 

だって、ありがたいことに私のCDや物販グッズを全て購入して下さっている方々もいるんだし、幸い今のところ私の創作魂は燃え尽きていない。やればやったぶんアイディアやイメージが湧いてくるから楽しい。言葉やデザインもトータルで創っていくから楽しいのだ。

 

そんなわけで、早ければ今月中には体制を整えようと思います。もちろん、やるからには継続的に新譜を出すよ。

 

写真は、練習後に弓を分解してお掃除する様子。

そんな、今日でした。

 

『生』 2022.06.13

日記をずっとつけていなかった。

本もろくに読めていなかった。

曲も書けていなかった。

 

つい、先日までの私である。

 

なぜかというと、去年春にコロナで”関東平野の成れの果て”のような親元に緊急避難し、都心まで片道2時間半という移動時間と11月にやったオーケストラ公演とで凄まじく疲れ果てたからなんだよな。人生であれ以上疲れることはもうないと思うほど。

で、バンバン曲書いたり歌ったりできるくらいに元気にピンピンしてきているので最近はインスタだの作曲だのやっている。

 

まだ、いろいろと調整中で準備中なんだが定期サロンコンサート企画プロデュースも今年秋冬から始まりそうなので、生アイティをご覧になりたい方々はぜひお問い合わせくださいませです。ものによっては完全クローズドで開催しそうである。(ちなみに、本日記のタイトル『生』は「なま」である。)

「え、秋冬なんて待てないよ!」

その場合は、原宿オーガニックレストランMominoki House にお越しください。毎週日曜日20時頃から投げ銭ライブやっています。基本的にきれいめクラシックしか弾いていないけど。あの、ライヴハウス的なヤバいやつは自主企画でやるとします。ほんとは、それが一番好きなんだ。

あ~、はやくヤバいのやりたいな~。

 

そんな、今日でした。

 

 

 

『細』 2021.1122

ご存知のように、私はつい先日まで「ユア・オーケストラ」にかかっていた。

まぁ大変でしたし、まだ処理があってクロージングできていないんだが、でも今後への展開も望めそうな気配がしてきているし、これがこんなにも世の中において喜ばれる企画であるならがんばって続けようと思う次第であります。

 

具体的にはさ、オケのスコアを見ながら弾いて勉強するのだが、その弾く前にマーカーでいろいろ印つけるんだよ。このメロディラインがチェロから木管楽器に移り変わるだとかさ、ここのリズムは目立ちにくいけど絶対重要、これ聴こえないと演奏が崩壊する、とかさ、ここの合図の出し方難しいからこれだけはリハで要確認とか、このメロディを全パートTutti(トゥッティというクラシック音楽用語で、ソロに対して全員という意味合いです)だとその合図がすごく難しい、どうやって決めるか、とか。そう、Tuttiでメロディって結構怖い。特にメロディアスだと音符を長く伸ばすような瞬間でずれやすいんだよ。そういうことを私はよく知っているんだよ。あとユアオケの人たちはみんな超絶上手くて腕に覚えがあるような猛者揃いだからそのへんも共通認識なんだよ。その時に私がどういう合図を出すかで全てが決まるんだよ。

私は今までオケのコンマスをやったことは実はなくて、なんで今回その任務を引き受けることにしたかっていうと、昔のウィーンフィルで最年少かな、そのコンサートマスターを務めたシモン・ゴールドベルクっていう凄腕のヴァイオリニストがいてさ、その方は晩年に日本人ピアニストと結婚なさったからコンマス時代のことなんかを連載記事で暗記するほど読んだからなんだよ。ナチス政権下でユダヤ系だった彼は大変な目に遭ったが戦後しばらく休養期間を経て今度はソリストとしてカムバックした、という方なのだが、その方が

 

ジャワ島のユダヤ人収容所で

唯一、私物の持ち込みを許されて

それがストラディヴァリウスで

強制労働はわりと簡単なもの

で、

 

いつまで続くかも分からない気が狂った政権下で人達も気が狂いそう、そんな中その収容所では非公式にコンサートが許された。

彼は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の総譜を全て暗譜しており、わずかな紙切れや木の葉まで使って残り少ないインクのペンで書き記し、同じように捕まったユダヤ人音楽家たち(アマチュアもいたようだ)と演奏をした、と。

 

それは本来ならば決して許される行為ではなかったのだが、精神を保つためには将校たちにも必要な出来事であって、彼らも木陰からこっそり覗いて聴いていたらしい……。(この時代の政権と芸術の戦いは、本当に心にグサグサくるし、ウィーンの街でも毎晩非公式に人種関係ないコンサートが開かれ人々はそこに半狂乱的に集ったらしい。だって友人や家族がゲシュタポに連れていかれる世界だ、誰がまともでいられる?コンサートはほとんどボランティアだったらしいけど、弾くほうも聴くほうもそんなこと関係なかったらしい。私はこの時代のことを思うとこのエピソードが全てセットで思い起こされるからかいつまんでお話しすることはできないし、これがあるから例のアフガニスタンの女性音楽家たちが虐殺されそうな今は胸が張り裂けそうな思いになる……ちなみに彼女たちの半数ほどが出国できたそうです。)

 

だから、自分にとってはオーケストラをやるというのは、このシモン・ゴールドベルクのようにスコアをまず頭に入れて、というところがスタートなんだな、と思っていた。

 

で、私は彼のようには素晴らしくないから自分のパート以外は完璧な暗譜はできないし「頭に入れている」というような表現でしかないのだが、それでも頭に入れてはいるんだ。それは、彼の人生から学んだことだから。

 

そして、今思っていることは、

今までいろんな音楽を経験してきたけれども、

しばらくは自分の仕事を細く集中させていきたい、ということ。

 

先日ヴィヴァルディのソロを弾きながらつくづく思ったのは、ソロというのはオケと違い自分の音にすごく細くそこだけに徹底して向かっていないとすぐ崩れそうになる、この細い集中力は、蜘蛛の糸のようなふわふわしたものじゃなくて、どちらかというと強靭なピアノ線。そのくらい細い精神を保つのでなければ、これは弾けないのだ。

で、私はこの細い精神でオケのコンサートマスターをやりたい。そうしたら、くだんの彼ほどまでではなくても少しはもうちょっとこのオケのために何かできるのかもしれないから。

 

「一般の方でも指揮者になれるオーケストラ」をやるって、そのくらい大変なことですよ。一人の人間の生き方を変えさせるくらいね。

写真は、その際のリハ。頼れるヴィオラの米納(よのうさん、という素敵で呼びやすいお名前なの)ちゃんが選んでくれた一枚。加工前。

 

そんな、今日でした。