オリジナル

『助』 2019.1029

今、私は助けを必要としている。

今、自分の身に起きた事、これについてどうしたら良いのか皆目見当もつかないのだ。

恥ずかしいことではあるが、それについて語ることをお許しいただきたい。

 

先週、久しぶりに温泉に行った私。そのあとの様子がすこぶる快調であったため、本日は近隣の別の温泉へと行ってきた。

非常に、気持ちよかった。

もう、これで今日は終わってもいいよ。

そのくらい、よかった。

 

ところで、コーヒー牛乳は明治のがいいですね。私の求める正解はここにあり、という思いがまざまざとしました。

 

で、本日の困ったことはここからである。

 

おうちに帰って、ずいぶんと食欲がわいた。

通常食べるよりいくぶんか多めの食事、鶏の骨付き肉と野菜のトマトソーススパゲッティにマッシュポテト。薄切りライ麦パンにクリームチーズとバナナをのせて食後のデザートとした。

 

これだけでも私にはかなりの量である。「今日はよく食べるなぁ、私。温泉効果かしら?」

遅めの昼食であったから、今日はこのまま夜は食べないでおこう。

 

そう、思ったのだ。

 

かかりつけのお医者さんにも、私は胃腸の働きが悪いから夕飯は軽くしなさいと言われている。

 

なのに、なのに

 

数時間後にまたお腹が減ってしまって、

 

また

 

食べて

 

しまった

 

のだ!!

 

。。。

 

お昼ご飯よりは、ずいぶん少なかったけれど、かといって今日の消費カロリーをそのぶん増やすことはできまいし、どうしたら良いのか!?

これでも、一応ダイエットしたいお年頃なのに。。。

 

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

ふうあーゆー 最終話

「そのときに飼ってた猫がふーって名前だったから、また付き合って生まれた君のことを最初はふーちゃん、て呼んでたのよ。」

「お、俺、夢の中で、その猫になってた。。。親父と母さんじゃなかったけど。。。」

「あら、なんかの暗示かもねぇ。」

 

俺は思い立ってその場で叔母さんに土下座した。

 

「叔母さん!お願いがあるんですけど俺、死ぬほど勉強して親父と同じ大学に入るから、学費出してくださいっ!!親父の給料じゃ足りないから!!」

 

その声は階下にも聞こえたようだった。親父が上がってくる音がする。

 

「そうねぇ~。」

 

叔母さんは真面目一辺倒な親父と違って要領が良くて、今は日本に訪れる外国人相手の物販ビジネスでかなり儲けている会社を経営していた。

親父よりよほど収入もあるし、勉強さえできれば大学に行けるかもしれない!

 

「ま、とりあえず今度の定期試験で学年上位に入れたら考えてあげる。」

「がんばる!」

 

部屋の入口に立ち尽くす親父は、会話の全てを聞いたようだった。

 

「令子。。。」

「親父。。。」

「あら、令子さんも心配されてるかしら。母校に祐樹くんも合格するのは悲願だったものね。」

 

叔母さんは、いたずらっぽく笑った。  

 

俺は今、捺美ちゃんと同じ塾に通っている。

正直ついていくことも大変だが、今までと違って勉強を投げ出すのではなくなんとか向かおうとすることを親父も応援してくれているし、勉強のコツも教わった。

なんで、今まで教えてくれなかったんだ?と聞こうと思ったが、猫だった時期を思い出してやめた。

もしかして、親父が恋人令子と付き合っていたときに教えていたことを思い出すことが辛かったのかもしれない、と。

ケイタは親父だったのかもしれない。

捺美ちゃんも、ケイタにいろいろ教わっていたしな。

 

「祐樹くんっ。」

 

交差点で信号を待っていたら、捺美ちゃんが声をかけてきた。あの猫の期間はなかったものだと思っている。

捺美ちゃんはドーナツ屋のバイトをもうすぐやめると言っているし、俺はあの日ドーナツを作っていなかったようだからだ。

隣で歩く捺美ちゃんの匂いがあの頃よりずっと繊細なのに強烈な印象を残す。

 

「私さ、第一志望変えようと思って。」

「そうなの、なんで?」

「うーん。。。なんか、もっと自分に合ってるものがありそうかな、って。祐樹くんは?」

「学部で言うと俺は商学部だよ。店を経営するのに経営の仕方がわからなかったら、せっかくの料理の腕も泣くからね!」

「じゃあ、私はどーしよっかな~!」

 

捺美ちゃんの声は晴れ晴れとしていた。なんなんだろう、このいい気持ちは。

あの鈴の音が聞こえてきた気がした。

 

「あ、猫がいる!」

 

彼女の指さすほうには確かに黒猫がいた。

俺と同じあの首輪と鈴。

 

「なんか、不思議な目をしてるよねぇ。」

 

捺美ちゃんの可愛さだけは、時空を超えるさ。

お前も見つけろよ、お前の人生と捺美ちゃんを。

 

俺たちは、赤信号になる前に道路を渡り切った。(終わり)

 

 

小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka

『不』 2019.0917

今日は、案の定寝不足となった。

というのは、昨日の日記に書いた、津原泰水先生の小説がものすごくて大興奮してしまって、なかなか寝付けなかったから。

 

こういうと、子どものようなのだが、

 

感覚的に興奮すると、眠れなくなってしまう。

 

これは、芸術的なあらゆることに言えるんだよなぁ、昔初めてマーラーの音楽を聴いたときには一週間は眠れなかった。ドキドキしてしょうがない。

私は映画をほとんど観ないが、その理由もこれ。

 

映像によるいい作品は特に神経への刺激が強く、ずっと寝付けなくなってしまうからだ。

 

最近は、それがわかっているのでかかりつけの漢方医の先生に睡眠薬のようなものを処方してもらっている。

 

だけどさ、昨夜で飲み切っちゃったんだよね。。。次の診察までもつかなぁ?

 

大体、そうなった翌日は神経も疲労しているから調子が悪い。だから、今日は一日ぼんやりとしていたし、忘れ物をしたり、練習も進まなかった。

 

このへんとの付き合い方がね、難しいですわね。

 

私は、一人ガンガンロックなライブハウスでヴァイオリン一本で出ちゃうような精神の持ち主であるのだが、作品を受け入れるときには子どものようになってしまっているのかな、こんなんでこの先生きていけるのだろうか。

とりあえず、今日は寝ます。写真は山きのこ。

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

ふうあーゆー⑬ 

「!」

ハッと目が覚めたら自分のベッドの上だった。

あ、あれ。。。なんで、俺ここで寝ているんだ?

 

「お、起きたか?」

入ってきたのは、なんと、親父だった!

「あ、え、あれ、俺。。。あの。。。」

「祐樹、お前3日間も寝ていたんだよ。医者に来てもらったけど、なんの別条もないって。」

「え、えぇっ!?」

「今、見舞いにお前のおばさんが来ているよ。」

「え、え、あ。。。」

 

親父の声は普通だった。普通に聞こえた、ということだ。

 

猫の聴覚じゃなくなったのか?

手足を見ると、もう普通の人間に戻っているようだった。俺は、戻ったのか?

あれは、夢?で、でも3日間て?

 

叔母さんが部屋に入ってきた。

「ふーちゃん、大丈夫~?」

 

え、え、俺また猫の呼び名!と、思ったら叔母さんはふっと笑った。

「なーに、3日ぶりに起きたからびっくりしてるの?ふーってのは、君のパパとママの昔の猫の名よ。」

「ね、ねこ。。。」

「あの二人、若いときに一度別れてたらしいのよねぇ。勉強や就職のためって。」

 

そ、それって。。。(第13話終わり)

 

小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka

第一話からはこちら 小説『ふうあーゆー』

 

ふうあーゆー⑫

その帰り道。捺美ちゃんは、俺を抱きながらずっと泣いていた。

 

「んっ。。。うっ。。。」

 俺も辛いよ、なんでこんなに好き合っている同士が別れないといけないんだ。

「ふぅ~。。。!!」

 

 しかも、ケイタは、俺を見ると捺美を思い出すから辛い、と言って捺美ちゃんに俺を引き取らせた。

そりゃあそうだ。

あいつはかなり面倒見が良かった。食事の外に、マッサージも丁寧で、男の世話という度合を越していた。

そんなにしてくれなくても良かったのに、一旦親しくなるとそうなる。

そういうやつなんだ。

 

「うち、飼えないよう。。。」

 

捺美ちゃん、大丈夫だよ。

俺、野良でもいい。

これ以上善良な人たちの世話になるのも忍びない。

親父のところには今更帰れないしさ。そのへんに置いといてよ。

 

「私が超勉強できたら、オール電化みたいにオールペット可マンション作るのに!!誰でも住めるやつ!!」

 

なんだそりゃ?と一瞬思ったが、俺はそれより俺が勉強できたら捺美ちゃんを泣かせなくていいようにずっと高校から大学もそのあとも一緒にいられるようにするのに!と思った。

俺がもっと勉強できたら、捺美ちゃんの夢を叶えてあげられるかもしれない。

 

そっか、何より勉強できなきゃだめだ、ダメなんだ母さん!俺に数学の力をくれよ!!

 

急激に強いあの鈴の音が鳴り響いた。

 

「ん!!」

 

捺美ちゃんもしゃがみこんだ。

あぁ、大丈夫か!?

 

 

お、俺も、、、意識が。。。あぁ。。。(第12話終わり)

 

 

小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka

 

『解』 2019.0908

今日は、モーツァルトのフルート四重奏曲を演奏した。

割り合い、リハーサルを丁寧に時間と回数をかけていったのだが、

 

こうしていると

気が付かないうちに、いろいろなものが自分の中に入ってくるようだ。

 

面白かったのは、それのリハーサルの帰りのある日、

私のオリジナル曲で『メトロ』という曲が、いつかこれをピアノトリオにしたい、と思っていて、

そうしたら、

その帰り道でトリオアレンジのイメージがパッと思い浮かんだんだよな。

 

『メトロ』。公開当時より今のほうが断然カッコよく弾ける。

 

 

モーツァルトという人は、シンプルとよく言われるが、

もうちょっと追及すると、

絶妙なバランスで音楽を構成させている感じだ。

 

まるで、サーカスの妙技かな。

 

少しでも、タイミングがずれたり、バランスが取れなかったりすると身の危険どころか、命まで危なそうな、妙技の世界。その魅力。

 

ギリギリのところを交わしていくのだから、

実は、モーツァルトを演奏するというのは、非常に難しい。

 

で、その絶妙かつ微妙な繊細さの真っ只中で長い時間を過ごすと、何かしら入ってくるようで、

それが、とても大きい材料となりそうな気がしている。

 

なんだって、自分で弾くのが一番だよね。

 

何はともあれ、皆さま台風15号にはお気をつけください。

写真は、姪っ子監修画像。

 

そんな、今日でした。

ふうあーゆー⑪

その数日後。

ケイタの忙しさと捺美ちゃんの勉強とが重なって、二人が会うのは2週間ぶりだった。

 

2週間の変化を捺美ちゃんは敏感に感じ取ってるようだった。元々、そういう子なのだ。

 

「捺美。」

 

あのクッションに座った捺美ちゃんをケイタは愛おしそうに見つめた。

 

「ごめん。俺、就活に向かわないといけない。」

「え、、、それって。。。」

「ごめん、捺美。ほんとにごめん。別れてくれ。」

 

あぁ、やっぱりそういうことか。。。

ケイタは優しくていいやつだから、面倒見も良すぎて、俺らはじゃまになっちゃうんだ。。。捺美ちゃん。。。

 

「捺美と付き合い始めた8カ月前は、ここまでだと思ってなかったんだよ。。。正直、甘く見てた。」

「私、待ってる。。。」

 

捺美ちゃんがか細い声で呟いた。

 

「ダメだ。お前はまだ高校2年生だ。捺美が大学に行くころには、またきっと状況が変わっている。俺だって、ビジネス英語がこんなに必須になってきているとは思わなかったよ。こないだも英文添削してもらったんだ。。。状況は、簡単じゃあない。」

「啓太くん。。。」

「捺美、これは真剣な話なんだ。」

「わかるよ。。。啓太くん、最近すごくがんばってる。。。やっぱり、私、足手まといなんだ。。。」

「捺美。」

 

 ケイタは見るからに辛そうだった。なんでこんないいやつがここまで辛い思いしないといけないんだ!

 

「捺美は可愛いし賢いし、捺美みたいないい女の時間は貴重なんだよ。俺で潰しちゃだめだ。時代は変わるし、もっといいやつといい出会いがあるかもしれない。捺美が大学に入ったとき、俺がちゃんと就職できているか約束できない。」

 

それ以上言わせないように捺美ちゃんはケイタの首元に抱きついた。

 

「うん。。。いいよ、啓太くん。。。」

「捺美、今までありがとうな。ふうとの生活も良かったよ。」

 

「もう、言わないで。。。」(第11話終わり)

 

小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka

 

 

ふうあーゆー⑩

ケイタの様子が少しずつ変わってきたのはその一か月ほどあとだった。

 

パソコンに向かう時間が長くなり、電話もよくする。

そして一日中ブツブツ英文を口にしている。

 

相変わらず俺の世話は丁寧にやってくれるし、それは俺もありがたいのだが、見ていると、

俺はいつまでもここにいるべきではないのでは。そう思った。

 

 

「え、見てもらえるんですか?ありがとうございます!」

 

ケイタは電話を切ると、最低限の俺の衣食住を整えて部屋を飛び出していった。

帰宅したのは深夜になってからだった。

 

「ふう。。。俺、お前たちに、、、。」

 

疲れた顔のケイタは何かを話そうとして、でも途中でやめてしまった。お前たちって、捺美ちゃんと俺のことか?

 

「捺美に返信しないとな。この汚い部屋に入れる自信がないよ。」

 

最近の忙しさでケイタは部屋の掃除はおろか、洗濯も洗い物も溜まりがちだった。

捺美ちゃんが来る数時間前に慌てて表面だけ片づける、俺はそれをよく知っていた。

仕方ない、ケイタはそれだけ勉強も忙しいのだから。

 

「あぁ~。。。困ったなぁ。。。このままじゃあダメだ。。。」

 

そんな弱音を吐くのは、俺が来てからは初めてだった。

 

なんでだ?お前はすごくがんばっているじゃないか。

勉強があるからって、酒もほとんど飲まない。

それに俺の世話は焼きすぎるほど、焼いてくれる。

 

 

「でも、確実な就職を勝ち取るには、やんないと。」

 

 

俺を抱き寄せながら語る低い声は、信じられないほど男らしかった。(第10話終わり)

 

 

小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 田中幾子

 

 

 

 

ふうあーゆー⑨

ただ、ここに来て気が付いたことがある。

 

それは、俺は今まで父子家庭で育って、料理をがんばって料理人になることが夢だったのだが、

二人の会話、特にケイタの様子を見ていると

俺が思っていたがんばりは、独りよがりだったのかな、

ということ。

 

ケイタもケイタで厳しい家庭で育ったらしい。

 

勉強ができないことなんて許されない環境で、常に満点を取ってきて当たり前だった、

ということを聞いたときには驚愕した。そんな奴が、ほんとにいるんだな。。。

 

そうやって、日本を代表する超名門大学の商学部に入ったのか。

 

高校の同級生は一流国立大学に行っていたり、留学した人もいる。

 

俺には想像もつかないことだらけだったが、

ただ普段のケイタの生活を見ていると、

俺なんかよりずっと真面目ですごく勉強している。

 

ほんとに、捺美ちゃんと過ごす時間だけが息抜きに見えた。

 

俺は勉強が苦手でずっとそれから逃げてきたんだが、

もしかしたら、ちゃんと向き合わなかっただけなのかもしれない。

 

そう思った。

 

そう言えば、亡くなった母さんは数学が大得意だったらしい。

「すべては数学につながるのよ」

口癖のように、そう言っていたとか。

 

だとすると、

俺はその才能を受け継いでいるのかもしれないし、

これまで才能の無駄遣いをしてきたのかもしれないな。

 

レシピの配合や温度の違いがもたらす材料の変化を読み取ることは得意だったんだが、それ以上のことには使ってなかったんだもんな。

 

それに、料理もお菓子も、

作られた背景や名前にはいろんな歴史が読み取れる。

 

となると、

世界史だって無塩、いや無縁じゃないはずだ。

 

あれ、俺は今まで何をしていたんだ?

 

『ふうあーゆー』テーマ曲 ~時空の音色~