年末年始は、母と過ごしてきた。

佐賀出身ということを公言している私ですが、実は我が家のルーツは東京から東北、北海道のほうにあり、佐賀というところには父の赴任でお世話になったにすぎない。

その父も亡くなり、親類縁者もいないところにいつまでも母一人でいるのも良くない、と思い、この数年母の東京移住の準備を進めており、この年末にようやく実現となった。

 

何しろ、大学時代に渋谷に住んで以来、東京好きな母である。まだ越してきたばかりで生活は落ち着いていないが、街や人の様子に大変興味関心を抱いており、これからしばらくスマホ片手に自分の街をうろうろ探検しまわることと思う。幸い、ご近所の方々もとても人の好い様子で、それも良かった。スマホの使い方はいくらか教えてきた。

彼女は、一人であれこれ出かけることも大好きで、

佐賀にいたころは、信心深さから佐賀市内から熊本の阿蘇神社まで何度もお参りに出かけていた。片道3時間はかかる距離を車で行くのだ。このたびも、車で上京したいと度々主張していたのだが、東京での運転経験が皆無なため、姉夫婦が止めた。諦めて飛行機で上京、引っ越しに伴い佐賀から車も届いたので、この先喜んで乗り回すことと思う。

 

北海道稚内から東京に大学進学、夫の赴任で身寄りもいない佐賀で半生を過ごし、合間に国の派遣でボストンへ。私が知っている彼女の人生は、半分ほどであるがそういったことを持ち前の室内犬のような冒険好きな性格で前向きに乗り越えてきている。

 

私が、いろいろなことに挑戦できるのは、この血をひいているからだな。あの人、永遠の少女だからな。

 

二人で、冷蔵庫も洗濯機も届いていない新居で彼女お手製のお正月料理を味わい尽くし、「私コンサートでミニスカート履くから衣装縫って」と我儘娘ぶりを発揮、互いの文学話に興じ、クラシック音楽やヴァイオリンにはほとんど興味を示さないが娘の練習だけは邪魔しないため深夜までヴァイオリンもピアノも弾き放題。「何その脚、太いわね~」と言い放つモデル体型の母。私は彼女と外観が全く似ていない。それは驚くほどである。

 

そんな、お正月でした。

オールパガニーニシリーズ 2020年1月13日『Paganini・Meetings4』