その数日後。
ケイタの忙しさと捺美ちゃんの勉強とが重なって、二人が会うのは2週間ぶりだった。
2週間の変化を捺美ちゃんは敏感に感じ取ってるようだった。元々、そういう子なのだ。
「捺美。」
あのクッションに座った捺美ちゃんをケイタは愛おしそうに見つめた。
「ごめん。俺、就活に向かわないといけない。」
「え、、、それって。。。」
「ごめん、捺美。ほんとにごめん。別れてくれ。」
あぁ、やっぱりそういうことか。。。
ケイタは優しくていいやつだから、面倒見も良すぎて、俺らはじゃまになっちゃうんだ。。。捺美ちゃん。。。
「捺美と付き合い始めた8カ月前は、ここまでだと思ってなかったんだよ。。。正直、甘く見てた。」
「私、待ってる。。。」
捺美ちゃんがか細い声で呟いた。
「ダメだ。お前はまだ高校2年生だ。捺美が大学に行くころには、またきっと状況が変わっている。俺だって、ビジネス英語がこんなに必須になってきているとは思わなかったよ。こないだも英文添削してもらったんだ。。。状況は、簡単じゃあない。」
「啓太くん。。。」
「捺美、これは真剣な話なんだ。」
「わかるよ。。。啓太くん、最近すごくがんばってる。。。やっぱり、私、足手まといなんだ。。。」
「捺美。」
ケイタは見るからに辛そうだった。なんでこんないいやつがここまで辛い思いしないといけないんだ!
「捺美は可愛いし賢いし、捺美みたいないい女の時間は貴重なんだよ。俺で潰しちゃだめだ。時代は変わるし、もっといいやつといい出会いがあるかもしれない。捺美が大学に入ったとき、俺がちゃんと就職できているか約束できない。」
それ以上言わせないように捺美ちゃんはケイタの首元に抱きついた。
「うん。。。いいよ、啓太くん。。。」
「捺美、今までありがとうな。ふうとの生活も良かったよ。」
「もう、言わないで。。。」(第11話終わり)
小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka