その帰り道。捺美ちゃんは、俺を抱きながらずっと泣いていた。
「んっ。。。うっ。。。」
俺も辛いよ、なんでこんなに好き合っている同士が別れないといけないんだ。
「ふぅ~。。。!!」
しかも、ケイタは、俺を見ると捺美を思い出すから辛い、と言って捺美ちゃんに俺を引き取らせた。
そりゃあそうだ。
あいつはかなり面倒見が良かった。食事の外に、マッサージも丁寧で、男の世話という度合を越していた。
そんなにしてくれなくても良かったのに、一旦親しくなるとそうなる。
そういうやつなんだ。
「うち、飼えないよう。。。」
捺美ちゃん、大丈夫だよ。
俺、野良でもいい。
これ以上善良な人たちの世話になるのも忍びない。
親父のところには今更帰れないしさ。そのへんに置いといてよ。
「私が超勉強できたら、オール電化みたいにオールペット可マンション作るのに!!誰でも住めるやつ!!」
なんだそりゃ?と一瞬思ったが、俺はそれより俺が勉強できたら捺美ちゃんを泣かせなくていいようにずっと高校から大学もそのあとも一緒にいられるようにするのに!と思った。
俺がもっと勉強できたら、捺美ちゃんの夢を叶えてあげられるかもしれない。
そっか、何より勉強できなきゃだめだ、ダメなんだ母さん!俺に数学の力をくれよ!!
急激に強いあの鈴の音が鳴り響いた。
「ん!!」
捺美ちゃんもしゃがみこんだ。
あぁ、大丈夫か!?
お、俺も、、、意識が。。。あぁ。。。(第12話終わり)
小説『ふうあーゆー』テーマ曲~時空の音色~ 作曲・演奏 Ikuko Tanaka