『渦』 2019.1203

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ずっと風邪を引いている。

季節の変わり目やら気温差やらで、なかなか治りきらない。ちょっと良くなったと思うと仕事に出かけたりしているから、余計そうなのだろう。

 

熱も下がってきた今日は、久しぶりに自分がただ弾きたい曲を練習してみた。

バッハの無伴奏ソナタ3番のフーガとイザイの3番「バラード」。あと、ゆっくりとピアノをさらった。こちらもまずバッハで、それからベートーヴェンのピアノソナタ。

 

おかげさまで、身体と楽器の相性はとても良くなっていて、どんどんと楽に音楽が身体の中に入ってきている。弾いていてとても幸せになってくる。この気持ちよさは、弾く人でないと感じられないんだろうな、少しでも聴く人に伝わるといい、互いに心地よくなっていくから。

 

そんなふうにして弾いていると、

今まで以上に音の中に入っていくものだから、

 

ベートーヴェンの精神、イザイのユダヤの大地の和音。

それらの渦の中にすっぽりと入ってしまいそうで、

 

とてつもないものに足を踏み入れたような怖さを感じて、現実に帰ってきた。

 

イザイの和音には大地のリズムを感じると思っていたけれど、もしかしたらそれは、ユダヤの人が持たない大地のものだったのか。ベートーヴェンの8分音符の羅列はなぜあのように執拗で狂気すら感じるのだろうか。以前はそんなふうに思わなかったのに、今はこの人の音楽に触れて自分は大丈夫なのかと心配になってしまう。

 

こう思うのが、風邪のせいだといいな。

 

音楽というのは、ときに民族や地球の歴史そのものを感じさせて、それは素晴らしくもあるが、当然のことながら悲しみもあるわけで、

今日は、その悲しいものに入ってしまったようです。

 

こうなると、眠れなくなっちゃうんだよな……。無事、安眠できて風邪が早く良くなりますように。

そんな、今日でした。

 

 

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