曲を書くときに、無意識のうちに昔から親しんできたものを書こうとしている。
昔から親しんできたものというと、ベートーヴェンやヴィヴァルディ、チャイコフスキーといった大家で、もちろんそんなものを私が書けるはずがないので、ここで言うのは、彼らの音楽の形、構造のことだ。
クラシック音楽の用語で「ソナタ形式」というのがあって、主にその形をやろうとする。ヴィヴァルディの時代にはソナタ形式はないんだが、面白い構造であることには変わりない。(ソナタ形式については、以前こんな解説を書いています。『パガニーニの呪文』)
アルバム『我儘なソリスタ』を発売する前に思いついたメロディがある。なかなかいい旋律なのだ。ただ、どうも私はこれを活かせないでいる。そんなこんなでアルバムは出来上がり、私は今他の曲も書いている。歌の曲も2つできた。
ふと、気が付いたことは、歌の曲のようなシンプルな構造のものをあまり考えられないのだ。2つの歌の曲はするするできてしまって、作った気がしなかった。リズムが歌っぽいからそうしたという理由だ。
歌の曲というのは、歌詞があるから、曲の構造はごく単純でわかりやすいものが多い。クラシックもポップスも関係ない。ベートーヴェンも歌の曲は書いてますけど、私が親しんできたのは、オーケストラ作品にピアノソロだから、彼がここぞとばかりにあらゆる形式や構造の組み立てを凄まじく練り上げた作品、まるでそうでないと音楽でないような気がしていたんだ。
でも、歌の曲もいいよ。モーツァルトのオペラアリアなんて、すっごくシンプルな形ですごく楽しいメロディ。そんなのがわんさかいる。
ここで、頭を切り替えて、歌の曲のような形もトライしてみようかな、そう思った次第であります。
そんな、今日でした。
写真は、よくわからないメモ。