クラシック

『浸』 20200121

最近は忙しくてほとんどやっていないが、昔から弾けない曲のスコアを音源聴きながら分析したり、弾けもしないピアノ曲をさわることが好きだ。

オケの譜面とか。カルテットとか。

ブラームスのカルテットなんてスコア見ているとその緻密さと研ぎ澄まされた緊張感からのゆったりとした音楽の造り込まれた構成に、とても同じ人間の技だとは思えない、と感じる。

モーツァルトは、ピアノ協奏曲なんか案外楽しいのですよ。この人のピアノ協奏曲は、彼における一つのジャンルと化しているので、オケとピアノの具合が素晴らしくバランスが整っていない。単純なソロと伴奏じゃあないからね。そこから生まれる妙というのがこの上なく美しい。

 

そんなふうにしていると時間はあっという間。

 

ただ、でもこうして弾けない曲にふれて、弾けるものは少しでも弾いてみて、そうすると何がしか自分の中にいろんな栄養素が入ってくるかのようで、それはときに疲れる。私はしょっちゅう湯あたりしている。食べてもないのに、いろんな人の成分が入ってくるのだものな。

 

読書もそうだな、少しでも手に取って読もうとしているうちに知らずのうちに私の中には文学が入ってくる、きっと。さしずめ、毎日種類の違う温泉に浸かっているかのようだ、この人生。

 

写真は、習慣にしている里山歩きで見かけた山茶花の瑞々しさに心奪われて。

そんな、今日でした。

終演『Paganini Meetings.4』

2020年1月13日。まだ「明けましておめでとうございます」と言いたい気分の今日、我らがオールパガニーニプログラム『Paganini Meetings 4』無事終演しました。お越しのお客様方、ありがとうございました。

 

今回の曲目。順番に

 

ソナタ・コンチェルタータ

カプリス24番(Vn)

ナポレオン

ソナタ3番、27番(Gt)

43の気まぐれより8番(Gt)

バルカバ変奏曲よりムタ3番

チェントーネソナタ4番

 

このうち、かっこで楽器名を記載しているものはそれぞれのソロ。

 

いやぁ、今回のプログラムはきつかった。ナポレオンという曲が、ヴァイオリンのG線一本で弾くために書かれているのですが、それが恐ろしく難しくて。パガニーニのG線だけの曲というと「モーゼ幻想曲」というのが有名なのですが、そっちのほうがずっと簡単に思えた。凄まじく高いハーモニクスがバンバン出てくるんだもの。こんなハーモニクスが存在していただなんて。そんな知らなかったことまで出てくる曲。これは身体にこたえる。

それと以前から取り組んでいるバルカバ変奏曲というのは、超名曲カプリス24番と同じ時期に書かれた、ヴァイオリンとギターの2重奏曲でこれもカプリスのような超絶技巧バンバン。特に今回の3番は難しかった~。

そう、今回は私と富川せんせの間で、とても音楽的とは言えないセリフが飛び交っていた。例えば難しいからって「愚痴は言わない」とか。

 

あとは、

「そこのリズムどうなってるの。え、そんな……不愉快極まりない」

 

不愉快極まりない。

 

音楽に対して出てくるセリフとは思えないね。私の「身体にこたえる」もそうだけど。

 

そのくらい、奇妙で変てこりんで、他の曲ではやらなかったアイディアを詰め込んでいるんだよなぁ。

 

そう、思うとパガニーニも可愛いやつかも。

 

しかし、それにしても今回のこれで、私の左顎下にヴァイオリニスト特有の痣ができたのは明確な事実ですわよ。痣、なかったんだけどな。

 

ちなみに、次回は5月17日のお昼です。だいぶパガニーニを掴んできた我ら。そろそろ決めの演奏をお目見えしましょう。

 

写真は、終演後にとにかくケーキで糖分補給したい私。向かいにはせんせがいた。

『二』 2020.0109

去年から始めたオールパガニーニコンサート『パガニーニ・ミーティングス』も今度で4回目だ。こらえは、元々はギターの富川せんせと何かコンサートやろうと話していたときに、

「最近は、一人の作曲家に絞ってやるものが興味持たれやすいよ」

「え、じゃあパガニーニ?曲やまほどあるしね」

みたいなノリで始めたのだ。それまでは、ピアソラとかサラサーテのスペイン民謡とかギターの古典やってた。だから、正直そこまでパガニーニに愛着があるとか、憧れていたとか、そういう気持ちは私はあまりなかった。ヴァイオリニスト的には、ちゃんと弾けて当たり前の作曲家なんだけどさ、好きとか嫌いとかで言っちゃうとやっぱベートーヴェンは死ぬほど凄いと思うし、ラヴェルなんか永遠の憧れ、砂浜の白ワンピが似合う清楚なお姉さんのような見た事のない憧れ感だよな。

 

が、おかげさまでシリーズとしてひたすらやっていくと、

 

はーっ、やっぱ名人ってすごいわ。

 

とひれ伏したい気分となるね、さすがだわ。歴史に残る人ってすごい。やっぱすごい。どう考えてもすごい。ヴァイオリンってこんなこともできたの、ってたくさん思う。はぅあ~すごいわ。

とか思いながらの今日のリハ。思い起こしてみれば、富川せんせと出会ったのって2年前の今頃か。目黒のバーValseだった。あれから結構な本番やってきたな。去年も一番共演回数が多かったし、人生どこでどう出会えるかわかんないもんだな。

 

写真は、富川せんせとこにあったおもちゃの三味線。これ弾いてもらってげらげら笑ってた私。

そんな、今日でした。

『助』 2019.1029

今、私は助けを必要としている。

今、自分の身に起きた事、これについてどうしたら良いのか皆目見当もつかないのだ。

恥ずかしいことではあるが、それについて語ることをお許しいただきたい。

 

先週、久しぶりに温泉に行った私。そのあとの様子がすこぶる快調であったため、本日は近隣の別の温泉へと行ってきた。

非常に、気持ちよかった。

もう、これで今日は終わってもいいよ。

そのくらい、よかった。

 

ところで、コーヒー牛乳は明治のがいいですね。私の求める正解はここにあり、という思いがまざまざとしました。

 

で、本日の困ったことはここからである。

 

おうちに帰って、ずいぶんと食欲がわいた。

通常食べるよりいくぶんか多めの食事、鶏の骨付き肉と野菜のトマトソーススパゲッティにマッシュポテト。薄切りライ麦パンにクリームチーズとバナナをのせて食後のデザートとした。

 

これだけでも私にはかなりの量である。「今日はよく食べるなぁ、私。温泉効果かしら?」

遅めの昼食であったから、今日はこのまま夜は食べないでおこう。

 

そう、思ったのだ。

 

かかりつけのお医者さんにも、私は胃腸の働きが悪いから夕飯は軽くしなさいと言われている。

 

なのに、なのに

 

数時間後にまたお腹が減ってしまって、

 

また

 

食べて

 

しまった

 

のだ!!

 

。。。

 

お昼ご飯よりは、ずいぶん少なかったけれど、かといって今日の消費カロリーをそのぶん増やすことはできまいし、どうしたら良いのか!?

これでも、一応ダイエットしたいお年頃なのに。。。

 

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

パガニーニの呪文

クラシックギタリスト富川勝智(以下とみー)とオールパガニーニという難行苦行コンサート『パガニーニ・ミーティングス』も今度で9回目である。 続きを読む

『減』 2019.1014

最近、いろいろな人と出会うことが多くてとても楽しい。

7月に、たまたま神田須田町の『海老原商店』前を通りかかってオーナーの海老原義也さんと親しくなり、およそ1週間後にはそこで開かれたコンテンポラリーダンスイベント「エビラボ」でバッハのシャコンヌを弾き、ダンサーたちに踊って頂いた。

コンテンポラリーダンサーさんたちは、みな元々はクラシックバレエ出身だという。実際、そばで拝見していても立ち居振舞いなんかも美しいのだ。もちろん、肉体そのものも。

そんなわけで、長いことバレエをやっていなかった私のバレエ熱が燃え上がり、そこからおうちでバレエ動画を見ながら練習する、というおうちバレエを始めることとなった。

 

そうするとですね、あのですね

血のめぐりが良くなるのか、

 

酒が呑めなくなった。

 

正確には、これまでよりも酒量が必要ではなくなってきた、というか。

 

弱いものを、ちびちびやれば十分。これまでの大量の酒は、一体私のどこに消えていたのだ?と自分でも謎めいた人体の不思議を感じるが、

特に、いい動画を見つけて毎日始めた9月からは減った。

 

いいことですよね?

 

いい人に巡り合い、酒の量は減る。

 

とはいえ、呑まない人生はやってこないだろうなと家系を思いながら、夜は更ける。

そんな、今日でした。

 

写真は、先月の「エビラボ」の様子。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

 

『竹』 2019.1001

生来、身体が丈夫でないので

今年の春になってから、山歩きを始めた。

 

最近は、週に一度くらいしか行けていないが、行けるときは連日通うなどしている。

 

元々、アウトドアは得意でもなんでもないんだけど。

 

でも、

 

自分が好きなのは、竹が奏でる音なんだ。

そう気がついたのは、ずっと昔に遊びに行った箱根の森でだった。

 

竹が奏でる風の音は、他の木々とずいぶん違う、まっすぐな節、さらさらとした葉、あまり強い音でないのに、実際の風はまっすぐに私の肌をめがけてくる。

 

あの音を聴くだけでも、

 

あぁ、ここに来た甲斐があった、、、。

 

そう、思えるのです。

 

そんな、今日でした。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

 

『動』 2019.0924

元来、出不精だし一人で過ごす孤独が好きだ。

 

読書好きの私は、家に閉じこもって一人きりでひたすら読み耽りたくなる。そのようにして、一人で大作曲家のスコアを眺め、ピアノで弾いてみて。。。という遊びとも研究ともつかない時間に身を任せたい。

 

それでいて、その欲求が過ぎればただ単に身体を動かしたくなる。

 

山の空気を吸い、家ではバレエを練習する。楽器の練習はそのあとだ。運動で身も心も軽くなった幾子のほうが扱いがいいからだ。

 

そういえば、自転車は乗れない。

 

危ないから乗るのをやめて、と家族に懇願された。

 

傍から見ていて危険を感じるくらい、下手くそな乗りようだそうだ。

 

走るのも、苦手。

 

得意な運動は、なんだろう?子どもの頃は障害物競走が得意だった。あれだけは、2位。1位になることは滅多になく、逆に3位以下になったことはなかったような気がする。

 

虫や両生類、爬虫類が怖くて仕方ない性分だから、山も長いこと避けて生きてきたのだけど、人より年月を生きる木々と、彼らが奏でる風の音に私の全てが洗われるから通うしかない。

 

こうしてみると、最近は動と静のありようが変わりつつあるようで、まだその変化に慣れないでいる。

まぁ、そうして私も生きている、ということで。

 

そんな、今日でした。山で見かけた彼岸花。

2019年の集大成!11月24日「かっこいい曲しかやらない」ヴァイオリン・ピアノデュオ『美会夜会』 原宿カーサ・モーツァルトにて。

 

オールパガニーニシリーズ 10月22日『パガニーニ・ミーティングス vol.3』

 

 

 

『忘』 2019.0819

今日も思う存分練習をした一日だった。

昼は山に行き、少し休んだら練習をする。

 

ヴァイオリンを弾き、ピアノを弾く。

全部、暗譜だから身体も頭も使い放題、という感じだ。(この場合の主体はどこにあるのかと言われると、使おうとする私自身、ということになるのか。)

 

この、自分で自分を酷使するのはいろいろできるようになっていくし、それが気持ちいいのだけど、一つ大きな欠点がある。

 

それは、

 

使いすぎて、他のことができなくなって今朝のことも忘れる。

 

ということ。

 

この事実はいいことなのか、悪いことなのか。わからないけれど、25日の本番に向けてやり抜くのみなのです。

そんな、今日でした。写真は、山の向日葵。

ソロコンサート。ヴァイオリン超絶技巧無伴奏、オリジナル曲、即興演奏など。次回は年内ラスト8月25日エムズカンティーナにて。『青の時代 vol.4』