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『解』 2019.0908
今日は、モーツァルトのフルート四重奏曲を演奏した。
割り合い、リハーサルを丁寧に時間と回数をかけていったのだが、
こうしていると
気が付かないうちに、いろいろなものが自分の中に入ってくるようだ。
面白かったのは、それのリハーサルの帰りのある日、
私のオリジナル曲で『メトロ』という曲が、いつかこれをピアノトリオにしたい、と思っていて、
そうしたら、
その帰り道でトリオアレンジのイメージがパッと思い浮かんだんだよな。
『メトロ』。公開当時より今のほうが断然カッコよく弾ける。
モーツァルトという人は、シンプルとよく言われるが、
もうちょっと追及すると、
絶妙なバランスで音楽を構成させている感じだ。
まるで、サーカスの妙技かな。
少しでも、タイミングがずれたり、バランスが取れなかったりすると身の危険どころか、命まで危なそうな、妙技の世界。その魅力。
ギリギリのところを交わしていくのだから、
実は、モーツァルトを演奏するというのは、非常に難しい。
で、その絶妙かつ微妙な繊細さの真っ只中で長い時間を過ごすと、何かしら入ってくるようで、
それが、とても大きい材料となりそうな気がしている。
なんだって、自分で弾くのが一番だよね。
何はともあれ、皆さま台風15号にはお気をつけください。
写真は、姪っ子監修画像。
そんな、今日でした。
『気』 2019.0906
気がついたら、ここ最近の私は数日前のこともすっかり忘れている。
不思議なもので、自分で書いた曲だとか、暗譜した作品だとか、こういったものは忘れないのだが、
その他の物事、
例えば、何曜日に誰と会ったとか、どこへ行ったとか、
もちろんお会いしたことやお話ししたもの、見たもの聞いたものといった内容はよく覚えているのだが、
時系列についてはだめだ。
すべからくして、記憶から抜け落ちる。
ただ、面白いのは
こうして活動が増えていくと
より暗譜や記憶の力は強くなっていく、ということ。
脳の使い方が変わるのだろうな、やることが増えるというのは。
で、最近の個人的新しい一歩は、
スマホカレンダーをやめて、紙に戻ったこと。
いやぁ、手で書くっていいものですねぇ。
写真は、山の周りに広がる畑の様子。
そんな、今日でした。
2019.1124 『美会夜会』~かっこいい曲しかやらない~
今年の集大成
2019年11月24日。
大親友のピアニスト藤井麻理ちゃんと、私の活動の最初からずっと力を貸し続けてくださる音楽サロンで、本年の集大成となるコンサートを開きます。
2019.1022『パガニーニ・ミーティングス vol.3』
2019年10月22日18時より、「オールパガニーニ」なコンサートを開きます。題して、『パガニーニ・ミーティングス vol.3』!
では、前回の内容を軽くご紹介しましょう。出演は、ヴァイオリン田中幾子とクラシックギター富川勝智(以下とみー)の2人です。
『眼』 2019.0825
今日は『青の時代 vol.4』本番そのものでした。
数日前から、演奏するときの感覚が大きく変わってきたからか、
今日はまた一段と緊張が激しかった。。。
でも、お客様にはそう見えなかったらしい。ふぅん。不思議なものだね、開演前にステージで確認していた終わりごろには足が震えていたのに。
でも、何度も来て下さっている方が
「研ぎ澄まされた感覚で隅々まで見渡せている感じ。音もすごく良かった。」
と、おっしゃって下さったので、
このところの変化の方向性は、悪くなかったのかもしれない。
思えば、2週間前の『パガニーニ・ミーティングス』のときと全く違っていたものな。そう話すと、
「目が覚めたのかもしれませんね。」
と、言われた。そうか、そうだったのか。
帰宅してふっと一息ついたところで、これからやっていく新しい企画のための準備を始めて、やっとゆっくりしているところです。
うん。この先も行こう。
そんな、今日でした。
ふうあーゆー⑦
捺美ちゃんは、週に2、3回訪れた。
そのほとんどは、塾に行く前の数十分と、土曜日の午後だ。
二人の様子を見ていると、捺美ちゃんはがんばって勉強していることがわかるし、ケイタも大学の勉強や就活も真剣に向かっていることがわかっていった。
捺美ちゃんがバイトをやめたのも、勉強のためだ。ダイエットは、それはケイタのため、なんだけどさ。。。
ただでも、一緒にいるときの会話のほとんどは捺美ちゃんの勉強のことだった。
ケイタは、かなり面倒見がいい奴のようだった。
それに、とても親切なんだ。
捺美ちゃんが何かに興味があるようなことを言うと、次に会うときまでにはそのことを調べて必要な資料も印刷してあげているし、何か食べたいときもまずケイタが作ってあげていた。
捺美ちゃんがそのことを気にすると、
「大学入ってからお返ししてもらうよ。」といつも言う。
ケイタもケイタでバイトもあるし、暇じゃないはずなんだが、こいつはいいやつなんだな。。。
あーぁ、俺もこのくらい勉強できたらなぁ。そしたら、もっと捺美ちゃんにいい思いさせてあげられるのに。
「ふうは、お利口だよねー。」
急に捺美ちゃんが言う。
今日の彼女はサラサラした髪の毛がとてもきれいだ。ただ、整髪料の匂いがジャマだな。俺が猫じゃなかったら、そんなこと気にならないんだが。
「そうそう、最近はちゃんと食べるし。ただでも、ちょっと寝すぎだけどな。普通はこの年齢だともっと遊ぶはずなんだって。」
「なんだか、普通の猫と違うよね?私たちの会話もじいっと聴いてるし。目にすごく何かあるような気がする。」
「そうだよなぁ。ふうがうちに来て、、、3週間くらいか。3カ月経って飼い主が見つからなかったらこのまま俺たちのふうになってもらおうかな。そうしたら、盛大にお祝いしような。」
ケイタの声はほんとうに嬉しそうだった。ケイタ、こいつに俺は好かれているんだろうか?
「そうだね!そうなったら嬉しいなぁ。」
あぁ、ほんとに似合いのカップルで悔しいなぁ、ちくしょう。
ケイタはそんなに美男子ってほどでもないが、俺よりはずっと顔がいいし、捺美ちゃんに対して常にレディファーストだし、こないだだって、捺美ちゃんから夜電話かかってきたときもすぐ飛び出していったんだよな。
あのときは急な豪雨で捺美ちゃんに傘がないからって、持っていってあげてたんだ。捺美ちゃんも家族より先にケイタに連絡するんだな。頼れるもんな。
「捺美さ、この鈴どう思う?」
「これね、なんの素材なんだろ?どうして金属なのに風鈴みたいな音がするのかしら。」
「俺さ、今度工学部のやつに見てもらおうかと思うんだよね。」
こ、この鈴か??
そうだ、俺が猫になっちまったあの日も寝ながらこの鈴の音が遠くから聞こえてきたんだよな!
俺だって知りたいよ。(続)
この小説のテーマ曲です。併せてお楽しみください。
ふうあーゆー⑥
精神的な疲労がひどいのか、それとも猫だからなのか、俺は一人になってしばらくするとまたうたたねをしていた。
あぁ、またあの音が聴こえるなぁ、なんなんだ、これは。。。
気が付くと、ケイタが台所でゴソゴソしていた。
あ、もう帰ってきたのか。
「お、ふう。起きたのか?これ、お前のトイレだよ。」
ト、トイレ。。。床の上に置かれたトイレ。。。当たり前か、人間じゃないもんな。。。
「なーんか悲しそうだなぁ、お前、ほんとに猫かぁ?でも、しばらくはガマンしてくれよ。俺も最大限努力するからさ。」
そっか。。。こいつも別に猫を飼いたかったわけじゃないしな。。。
「わかった、じゃあせめてこうしてやるよ。」
ケイタは押し入れから段ボールを取り出して蓋の半分を切り取り、もう半分を固定した。
「こうすれば見えにくいだろ?」
わかった、ありがとう。俺はそう思った。
「今、飯出してやるから。」
俺が黙って待っていると、皿の上に、数種類のおかずのようなものがきれいに盛り付けられたものを出された。まるで、どこかのおしゃれなカフェのワンプレートメニューのようだ。これはなんだ?見た目はステーキやハンバーグのようだぞ??
ケイタはケイタで、大きな器にやはりステーキとハンバーグを載せてローテーブルの上に置いた。
「よし、これで俺たち男二人の最初の晩餐だ!えーと、ふうの飲み物がないな。」
小さな可愛らしいガラス製の器に水を入れて置いてくれた。
「これ、全部猫が食べても大丈夫だからな?さっき、ペットショップで買ってきたんだ!美味しいといいな。」
ケイタは手に炭酸水が入ったグラスを持った。
「ふうとの出会いに、乾杯!」
ここまでされちゃあ仕方がない。
俺は目の前の食事に手を付けた。もとい、口を付けた。
うん、なかなかうまいぞ。なんだ、これは。マグロを使っているのはわかるが、塩分なしでここまで旨みを出せるものか。こりゃあ勉強になるぞ。
ケイタはケイタで、見た目は俺と同じメニューを食べながら時々俺の様子を見ている。
ケイタはこういうときにアルコールは飲まないのかな?下戸か?
「美味いか?このへんじゃ良さそうなペットショップだし、いろいろ置いてあってその中から人気のメニューを選んできたんだよ。」
へぇ、そうなのか。俺はこのハンバーグに見えるものの中味がシラスっぽいことが驚きだ。
「なーんか、ふうは舌が肥えてそうだなぁ。これは毎日は続かないし、どうしたものかな。」
なんか悪いなぁ。。。そんなふうに思ってたら、ケイタはまた新たな皿を目の前に差し出した。
そこに乗せられていたのは、なんとケーキだった!猫用のケーキがあるのか!
「ふふっ。こういうのも、悪くないだろ。俺は甘いもの苦手だから、これは相伴できないよ。」
ケイタは炭酸水を飲みながら、ちょっと得意げな顔をしていた。
俺は、本気で泣きそうだった。
こんな、情けない姿なのに、なんでこいつはこんなに親切なんだ??ケーキのように見えるこれもやはり魚から作られているようだし、至れり尽くせりすぎるよ。。。
食べ終わって、俺はまた眠くなった。
なんなんだ。
ケイタはケイタでパソコンに向かい、忙しそうだった。
「ふうのベッド、ここだから。」
部屋の片隅に用意された寝床は黒い柔らかそうな生地が敷かれ、傍らに小さな丸っこい小さなクッションとも枕ともいえるものが置かれていた。
これも、俺のために買ってきたのか?気になったけれど、確かめようもない。
俺はケイタの打つキーボードを叩く音を子守唄に寝入っていった。
あの鈴の音は、聞こえなかった。
『左』 2019.0820
また日記に書こうと思っていたことを忘れてしまった。
いや、大体いつも内容は決めていないことが多い。だが、パソコンに向かうと自然と内容が思い浮かぶから、それを元に書き始める。
なんだが、
今日はそのついさっきの考えも忘れてしまったのだ。
いいんですよ。そのぶん、今日暗譜したイザイを忘れなければ。
あ、思い出した。
右と左を間違える、という話だ。
そうそう、私は右と左をよく間違える。なぜだかわからない。ちなみに、地図は読めないし東西南北は全くわからない。
今日も、人に車で送ってもらっていたときに
「次のそこを右に曲がって」
と頼む私の腕は左を指している。なんのこっちゃ、という感じである。
なんでなのでしょうねぇ。
よく、右と左を子どもが習うときに「お茶碗を持つほうが右。」というそうだが、お茶碗を持って食べることができるようになる前にヴァイオリンを持った私は、確実に「楽器が左。弓が右。」と覚えこんでいる。
なのですけれども、一旦自分の肉体を離れてしまうと左右が判別できなくなってしまうのだなぁ。これについては、理由も対処法もさっぱりわからない。
このあたりについて、なにか知識がおありの方はぜひご一報ください。
あと、今日は小説『ふうあーゆー』のテーマ曲を公開したので、よろしければ小説と併せてお楽しみください。
写真は、本来の用途で使ったことがあまりないキャンドルスタンド。
そんな、今日でした。
ソロコンサート。ヴァイオリン超絶技巧無伴奏、オリジナル曲、即興演奏など。次回は年内ラスト8月25日エムズカンティーナにて。『青の時代 vol.4』
『良』 2019.0814
今日は、自前の小説第4話を公開した。結構読まれているようだが、皆さんどうだろうか。楽しんで頂けていると良いのだが。
で、今日は来週末にせまったソロコンサート『青の時代 vol.4』の準備に取り掛かっていた。最近パガニーニしか弾いていなかったから、いろいろな音楽が新鮮だ。正確にいうと、ずっと熱であまり練習時間も取れないから『パガニーニ・ミーティングス』が終わるまではそれにかかりきりになっている、という状態であった。
体感的には、バッハもコンチェルトも久しぶり。弾いていてすごく気持ちが良かった。
今度は、このシリーズを始めてから眠らせていたイザイをやろう。バッハと関連付けてやりたい。そんな練習をしていて、ソロコンサートで最近弾いているバッハのフーガもひと月ぶりに取り出すと、また感触が違っていて、楽しかった。
きっと、パガニーニに集中して、それから他の作曲家。という巡りがいいんだろうな。やはりヴァイオリニストはパガニーニとバッハのような芸術性の高いものを必ず同時にやるべき、と言われる所以が身をもってわかった気がする。
こうして、また私は音楽とヴァイオリンについて語ることが今宵も増えた。
幸せな、良い日。
そんな、今日でした。
写真は、春過ぎた山の中で。紫陽花だと思うんですが、いかがでしょう。
ソロコンサートシリーズ「青の時代」ヴァイオリン超絶技巧無伴奏、オリジナル曲、即興演奏など。次回は8月25日エムズカンティーナにて。『青の時代 vol.4』